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大学入試で浪人する人が激減している!?

Nov. 02, 2022 大学合格戦略

大学入試センターが来年1月の大学入学共通テストの出願者動向を発表した。昨年の第2回共通テスト時のデータと比較してみると、現役生が4%減なのに対し、浪人生の出願が約7%(約5千人)も減っていた。2年前の第1回共通テスト時と比べると約14%(約1万人)の減少となる。浪人生減少の原因を分析すると、

★少子化による受験人口の減少
2021年度の18歳人口は約115万人いたが、2022年度は113万人と約2万人減っている。減少率は約2%なので人口減以上に国公立大学の受験者数が減っているということになり、他の減少要因の存在が考えられる。
★総合型(旧AO)・学校推薦型入試割合の増加
特に私立大学で顕著で、旺文社のデータによると22年度の一般入試以外の私大の入学者数の割合は約55%と半数を超えたようだ。おそらく学力的に厳しい層で早慶上理など難関私大を浪人覚悟で目指す人が減っているのではないかと予測する。私大の一般入試離れはずっと続いており共通テスト利用入試の出願者も減る傾向にある。西日本の国立大で貴重な抑え校であった岡山大が後期募集を廃止することは今年度入試で最大級の変動要因となるが、後期定員は総合型入試に振り替えられる予定。
★経済停滞、円安・資源高による生活コストの圧迫
コロナ禍で景気が停滞する中、世界的なインフレによる金利差の拡大から急激な円安が進み、ロシア・ウクライナ戦争による資源高も伴い、多くの人の給与が上がらないまま物価だけが上がる状況が続く。その結果、家計が苦しくなる家庭が増加しており、予備校費用など教育費にも影響していることが考えられる。

私立大学の志願者数は、人気の高い難関大にはあまり変化は見られないが、BF(ボーダーフリー)大学といわれる地方私立大への進学者は減少が続いている。私立学校共済事業団によると定員割れの私立大は全体の約半分と年々増加基調とのこと。少子化が進む中で私立大の乱立が供給過多を起こしているのは明らかだ。多くの私立大は入試による選抜よりも学生を集めることが存続への喫水の課題となり、河合塾は23年度から大学全入時代が到来すると予想する。

これらのトレンドを踏まえて、今後の展望及び受験戦略については、
★現役志向がより強まる
経済状況が厳しくなっている家庭が多いという事実を踏まえると、金銭面から浪人を避けて確実に現役で受かる大学を選ぶ傾向は続くだろう。
★難関大の人気は根強い
東大・京大・国公立医学科などは従来通りの人気で穴場になることはないだろう。むしろ浪人できる人が減る分、上位現役生同士の厳しい戦いになる。私立中高一貫校などで先取り学習している人が更に有利になるのではないか。

難関大学の大学入試の出題レベルは変わらないし、トップ層の学力もあまり変わっていない。そんな中浪人する人が減るということは、先取りする現役生が勝てる時代になっているということだ。東大合格者数も国公立医学科合格者も上位を占めるのは私立中高一貫校だ。これらの学校の上位層は中高6年間の間に浪人が予備校で勉強する分まで先取りしている。さらに思考力重視の共通テストが導入されてから現役生の中でも上位層と中下位層の差が今まで以上に拡がっている状況だ。

最新の河合塾模試による国公立医学科志望者数は少子化にも係わらず前期が前年比118%、後期が前年比112%と大幅に増えている。2020年までの数年間は沈静化していたが、21年度からはコロナ禍が医学科人気を復活させた。日々発信される医師の活躍を見る中で医療への興味を持つようになった受験生の増加や世界経済が景気後退に向かうという不安から医学部・薬学部など資格系学部の志望者増につながっている。各大学は総合型・学校推薦型など多様な募集方式を設け「情報戦」がカギとなる。出願戦略、自分に合った勉強法、塾やICT教材などを組み合わせて合格レベルに到達できた人が勝利する。但し、巷の溢れる情報の中から自分に最適なものを取捨選択することが必要となるだろう。