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性別で合格基準が変わることは人権上の問題か?

Jul. 28, 2021 その他

女子の合格ラインが男子より高いことが都立高校入試で問題視されている。これは戦後70年間も続けられてきた「男女別定員制」が一因とされている。第二次世界大戦後米軍GHQの要請で進められた教育改革で全ての都立高を男女共学制とすることとなった。しかし当時の学校施設や男女の学力差の問題から、元男子高においては募集を男3:女1、反対に元女子高では男1:女3の枠組みで開始し、昭和40年代にかけて50%:50%に段階的に普及させていったということだ。

東京以外の道府県では既に男女別定員を無くしているが、東京には私立高が多く、しかも女子校が男子校の2倍もあるので、都立高には男子の受け皿を一定数確保しておくことが求められるという東京特有の事情もあったようだ。

また異なる理由で、関西の有名私立中入試でも共学校で女子の合格最低点が男子より高くなっている。トップ私立共学校の募集定員は次の通り、
洛南中学:男子220人:女子80人
西大和中学:男子180人:女子40人
高槻中学:男子120人:女子60人
各校とも女子の定員が少ない。その結果、女子の合格最低点がつり上がり洛南で40点、西大和で18点位女子の方が男子より高くなっている。

浜学園など関西の大手塾の偏差値ランキングでも洛南女子は男子校最難関の灘中に急接近し、難関大学合格率の高さで知られる名門校の内部に「女子の灘中」を抱えている状態だ(3人の灘高卒のお兄ちゃんに続き最難関の東大理3に現役合格した佐藤ママの末っ子さんも洛南女子)。

女子の定員を少なくする理由で3校に共通するのは「元々男子校で設備面などの受け入れ体制が整っていない」という点、今後については高槻が「環境整備に努め段階的に女子を増やしたい」とする一方、洛南は「校風につながる伝統的な教育手法があり、軽々しく女子を増やすことは難しい」、西大和は「中学入学期では女子の方が発達が男子より早く、女子の方が存在感が大きい」(これって医学部入試の女子差別で順天堂大学が言い訳にしていた理論では?)などの理由から、現時点では女子定員を増やす予定はないとし「点数差も必然」と言う。

ではこれらの元男子校はなぜ共学化したのか?塾関係者は「かつて京都周辺では男子校がメインで学力の高い女子の選択肢がなかった。近年は「女子にも高学歴を」と願う保護者のニーズを組み、学力の底上げにもつながる共学化に進んだ」と話す。ただ「女子受験生の中で想定以上のブランド化が進み、その受験熱に関西の私学がついていけていない」との戸惑いの声も聞かれる。

2021年度の国公立医学科合格者数は洛南72名、西大和学園66名、高槻29名(系列の大阪医科薬科大医学科には13名合格)と医学科に強い。理系上位の女子の多くが医学科を目指すことから、関西以外でも今春90名と東海に次ぐ全国2位の合格者数を出した九州No.1の久留米大附設、59名と中四国トップの合格者数だった愛光と共学化により女子パワーで医学科合格者数を伸ばした私立校は多い。

なお、都立高校の男女別定員制に反対する弁護団は「憲法や教育基本法で違反する性差別」とし、東京都教育委員会に対して「男女別定員制の撤廃」と「個人の尊厳に基づいた公正な入試の実施」を申し入れているようだ。