共通テスト情報科目追加への現場の声は?
2025年の大学入学共通テストから情報科目の追加が正式に決定した。来年度の高1(現中3生)から導入される新学習指導要領では「情報」の再編が行われ、プログラミングを学ぶ情報I(全員に必修)と発展的な内容を扱う情報II(選択科目)の2科目がスタートするが、果たして現場は対応できるのか?各県の情報教育の関係者がオンラインで議論した。まず全国の各都道府県の現状については、
秋田県:
過去に情報科教員を1人も採用していない秋田県では、他教科と共に教える免許外教科担任も多く意識はまだ薄いようだ。分野的にはプログラミングへの対応が厳しいようだ。
神奈川県:
神奈川は毎年のように採用しているので「いろんなことができるようになるので楽しみ」という声を聞く。大学や大学院でプログラミング言語Pythonなどを使った物理や数学の教員もいて連携できそうだ。
愛知県:
愛知県高校情報教育研究会の参加者に調査したところ情報Iは高1で履修予定が約6割、高3も1割強だった。高1で教えて他教科で活用するのが理想だが、忘れてしまうので入試前の補習などが必要だろう。今後も研修会が何度かあるが、参加しない教員にどうアプローチするのかが課題。
兵庫県・大阪府:
神戸市立科学技術高校の教頭だったが、関西は元々、情報教育が盛ん。大阪では授業公開も以前からかなりされている。教師が授業で挑戦を楽しむことが大切。
大学入学共通テストの「情報I」に対応できるか?
愛知県では、教員間でも共通テストのサンプル問題は結構難しいという声が大半。要因の一つは、情報科教員が思考力・判断力を問う問題を解いた経験が少ないことだ。神奈川県では「この程度の難易度ならチャンス」という感じ。きちんと教えれば、数学や英語で点数が取れない生徒も情報で挽回できそうだ。
知識を教え込めば解ける問題ではなく、授業できちんとプログラミングも含めて体験し、論理的に考えられる生徒が、点数を取れるような問題になっていくことを期待したい。入試以外にもコンテストなどで生徒の興味を引くことも必要。新教科「情報」は今の閉塞した日本社会を変える教科になり得る。教育委員会、高校校長会、民間も協力して議論し力を結集して臨むことが大切だ。
現中3生以降の皆さんは情報Iが受験科目に追加されるので、今まで以上に英語・数学のメイン科目を早期に仕上げていく必要性が増します。現高1生の皆さんも入試改革の狭間世代となり浪人はできるだけ避けた方がいいので今のうちに英数を固めていきましょう。