2022年度大学入試を総括すると
コロナ禍の中で2年目の大学入試となったが、キーワードは「二極化」だった。22年度の国公立大学の出願動向はコロナ禍の継続、及び大学入学共通テストの平均点がセンター試験時代も含め7科目で過去最低を記録したことが変動要因になると見られていた。しかし、実際の国公立大学の志願者は3年ぶりに増えた。根強い国公立大学人気と私大も含めた難関大学の志願者の増加が主な要因となっている。
22年度の共通テストは上位層も苦戦する難易度で、多くの受験生が同じようなスタートとなり、実質「2次試験勝負」となった。この点を有力進学校の進路指導部はしっかりとらえていたようだ。そのため難関国立10大学の中で、前年から志願者減となったのは東北大、名古屋大、神戸大の3大学にとどまった。難関大の志願者が減らなかったのは、コロナ禍での不透明な状況だからこそ、有名大学に進学することの価値を見出す受験生が多かったということだろう。
難関大の志望者が増えた一方、準難関大は共通テスト平均点ダウンの影響で、志願者を減らす大学が目立った。難関大に比べ共通テストの配点比率が高いため、2次試験での逆転が困難という判断から筑波大や千葉大、東京都立大などで志願者が減少した。大阪市立大と大阪府立大の統合により誕生した大阪公立大も国公立大最多の志願者を集めたが、20年度の2大学合計の志願者数には及ばなかった。同じく共テ配点比率が大きく、難易度が低い公立大も志願者が減少。国公立大は難易度レベルにより志願状況に濃淡が見られた。
22年度は私立大も難関大人気が高まった。前年は私立大全体で志願者が大きく減少。早慶上智、MARCH、関関同立といった難関大グループの中で、志願者を増やしたのは上智大、立教大、関西学院大の3大学のみだった。これら上位私立大の志願者が増えたのは前年の反動に加えて共通テストの難化により、国公立大志望者の併願が増えたことが大きい。
私立大全体を見ると、国公立大と同じく難易度の高い大学で志願者が増加傾向だったのに対し、難易度が下がるほど出願者の減少幅が大きく、出願状況の二極化が見てとれる。コロナ禍の社会情勢を受け、より将来の選択肢が多い大学を目指そういう意識も働いたのではないか。
23年度入試には高校入学時からずっとコロナ禍を経験してきた受験生が挑む。経済状況の悪化が続けば、学費が安い国公立大学人気がさらに高まる可能性がある。私立大入試では早めに合格を手にできる学校推薦型や総合型入試の割合が高いので、早期現役合格志向と難関大勝負の二極化が一段と進みそうだ。