25年度入試では旧課程履修者には経過措置を適用
高1生から新しい学習指導下での学校授業が開始した。新科目「情報」や地歴・公民、数学の教科組み換えが主な変化だが、文科省は25年度の大学入試で旧課程を履修した浪人生が不利にならないよう必要に応じて経過措置を講ずるよう国公私立大学に通達を出した。新教育課程履修者にも履修内容に変更が生じているため、十分に配慮して出題するよう求めた。
具体的に経過措置科目として旧教育課程履修者用の出題がされる予定の科目は下記の通り、
(社会)
旧日本史B、旧世界史B、旧地理B、旧政治経済、旧倫理、旧現代社会
★「公共」の新設で廃止される旧現代社会を受験できるのは1浪目の25年度入試のみなので、現高2生には現代社会の選択はお勧めできない。
(数学)
旧数学IA、旧数学IIB
例えば「新課程の出題範囲とこれに対応する旧課程の科目との共通範囲を出題する」「共通する範囲のみで出題するのが困難な場合は、必要に応じ旧課程の範囲から出題する問題を別途用意し、選択解答できるようにする」など可能な限り旧課程履修者に配慮するよう求めている。
一方、新課程履修者に対する各大学の個別試験の出題については、学習指導要領改訂後の各科目の履修範囲に十分配慮するよう要請。特に数学A、数学B、数学Cは項目を選択して履修するため、そのことに配慮することも求める。
また、新学習指導要領に対応した25年度大学入試選抜で課す個別学力検査と大学入学共通テストの科目教科の設定については、志願者の準備に大きな影響を及ぼすことが予想されることから、原則2年前の予告を待たず、可能な限り早期に公告することを各大学に求めた。
21年度入試で30年余り続いたセンター試験から大学入学共通テストに切り替わったが、その際は12年毎に実施される学習指導要領の改訂はなかったため、浪人生向けに出題での経過措置は設けられなかった。高2生もまさかの浪人をしてしまうと入試が複雑になるのは確実だ。特に厚生労働省の分科会で2029年以降医師の需給均衡が予測される医学部医学科では、コロナ禍の影響で3年余り期限延長されている臨時増員枠(国公立医学科で約740名)の廃止がいつ発動されてもおかしくない状況なので、高2生には何とか現役で勝ち抜いてもらいたいと願うばかりだ。