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日本の私立医大でもレガシーアドミッション!?

Dec. 02, 2023 その他

米国の大学入学選抜ではハーバードやイェール大など8校のアイビー・リーグと呼ばれる有名私立大(学部生総数のわずか0.2%の学生数)を中心に卒業生の子弟らを優遇する措置(レガシー・アドミッション)がとられてきた「卒業生の子弟の優遇廃止は、白人以外の志願者に公平なチャンスを与えるために不可欠だ」とハーバード大の入学者選抜について米教育省に調査を申し立てた弁護士は話す。

多民族国家の米国で、卒業生の子孫は「レガシー」と呼ばれる。多くの有名大学では歴史的に白人の割合が多く、レガシーの優遇は白人にとって有利になると指摘されている。申し立てによると、ハーバード大では卒業生の子弟であることや、大学に多額の寄付をしたことを理由に優遇された志願者の約7割が白人だった。このため、人種差別などを禁じた公民権法に抵触し、連邦政府が大学に補助金を出す条件として、こうした優遇の撤廃を要求することなどを求めている。

米国で議論になっているレガシー・アドミッション、日本でも一部の私立医大が「卒業生子女枠」などの名で特別枠を設け始めた。特に医学科の入試においては、募集要項などに明示しないまま卒業生の子弟を優遇し過去に問題になったこともある。合否判定での卒業生の子弟をめぐる対応については2018年に東京医大入試で女子差別が発覚した際に文科省が全国81医学科の入試の公平性を調査した経緯がある。その結果、東京医大、金沢医大、日大、昭和大の4つの私立大医学科を「不適切」として公表した。

2019年に設けられた有識者会議は最終報告書で同窓生子女の特別枠について「募集要項で明示する」ことを求めた。文科省から指摘を受けた金沢医大では20年度入試から総合型選抜の一部に「卒業生子女入試」と明示した枠を設定「北陸地方の地域医療を支える人材の育成と確保」を目指し卒業後、同大付属病院などで5年間の臨床研修をうけ、さらに4年間勤務するのが出願の条件だ。定員110名のうち8名の枠で志願倍率や約5倍。他の総合型選抜の約12倍と比べると低くなっている。昭和大は「卒業生推薦入試」、東邦大も「同窓生子女入試」を開始した。

卒業生の子弟を対象にした入試について、東大教育学部大学院教授は「公平性の点では望ましいとはいえず原則的には避けるべきだ。親の地位を子供にそのまま継承することの容認につながる」と語る。特定の人しか受けられない枠は、他の人がアクセスするチャンスを減らす点も指摘され「日本の私立大も国から公的補助金が入っている以上、広く社会の理解を得る努力が求められる」と話す。

或る進学指導アドバイザーは医学部での特別枠について「学力試験の難易度や比重が低く、倍率も高くない枠を卒業生の子弟に割り振ると親が医師でない受験生の席が減る。大学は制度の社会的意義をきちんと説明する努力が必要だろう」と指摘する。東北大教育学部教授は医学部の特別枠については「医師としての適性という面で、国試を突破するのに十分な学力のある学生を本当に採れているのか?という観点での検証も必要だ」と語る。

私立医大の6年間の学費の平均は3200万円を超え、親元を離れた生活費等を含めると5000万円近くかかると言われる。生まれた家庭で私立大に行けるかどうかは決まり、まさに今はやりの親ガチャの世界だ。一方、国公立大学医学科は合格を勝ち取るまでの教育費を賄えるかの課金ゲーム的な要素もあるが、最終的には本番で合格点が取れるかどうかの本人同士の学力勝負となる。四国の田舎から数々の奨学金をいただき世界に出る機会を得られた身としては、神のみぞ知る勝負に将来の可能性を賭ける後者の皆さんの挑戦に少しでもお役に立てればと願っている。