共通テストは日本語「読解力」が重要!
初めて実施された大学入学共通テスト、特に変更点が大きかった英語については「読解力や分析力を重視する問題が多かった」と識者や高校教員は口をそろえる。センター試験で定番だった発音、アクセント、文法などを単独で問う知識問題が廃止され、代わりにグラフやイラストなどの資料を多用した問題が目立った。
昨年のセンター試験では、このような問題は大問で1つだったのが、今回は全6問で問われた。駿台講師は「これまでのような英文の意味そのものを問う問題が減り①英文の内容を読み取り②それを使って情報を処理・運用するという2段階の作業が要される問題が増加した」とみる。資料を「読み解く力」をみる傾向は数学や理科、社会など他の試験科目でも顕著だった。
当塾でも現代文が得意な女子は、リード文が長かった生物、化学で9割近く得点できたが、計算問題が減らされた物理や数学で理系男子が伸び悩んだ。まさに「読解力」が全科目にわたって影響したテストとなった背景にあるのは2022年度から12年ぶりに改訂される新学習指導要領だ。様々な資料などから情報を読み解いて課題を探り、解決方法を見出す「思考力・判断力・表現力」をより実践することが求められる。
駿台講師はリーディングの特徴として分量の増加も指摘する「どう見積もってもセンター英語から1000語以上は増えている。英文の意味を正しく理解できることを前提に、そこから一歩先に進んだものが求められる。読むスピードを上げながら、英文の全体像を正確につかむことが必要になる」実際、受験生からは「全部読み切れなかった」英語の得意な生徒も「時間内ギリギリだった」という声が聞かれた。
国際会議などで同時通訳者を務めた経歴がある鳥飼立教大名誉教授は「共通テストで出題された長文は論理構造がしっかりしているとは言えず、論理的な思考力は測れない。この問題内容を素早く処理する能力があることと英語力があることは別問題」と批判する。
日本の英語教育は長らく「和訳・英訳」が中心で「使える英語」が身に付いていないと批判があった。国公立難関大学の個別試験では鳥飼教授の理想とする論理構造のしっかりとした長文読解問題が出題される2段階選抜システムとなっていることから、1次マーク試験では実用的な英語力を試すスピード型試験でもいいのではないか?大学入試センターもこうした声に「じっくり深く読み解く英語力は各大学の2次記述試験で測ってほしい。50万人近くが受験する共通テストでは限界がある」と述べている。
当塾では生徒に「スピードと精度の最適化」を目指して長文速読するように説いている。新高3生となる下級生には共通テストを東進や河合塾で同日受験してもらったがリーディングは9割前後取れたようだ♪今回の英語では配点を3点でフラット化したり「2つの解答を選べ」と模試より複数回答問題を易化し、改革初年度のショックを和らげる配慮がみられた。来年度は平均点5割を目指して配点、複数回答問題の複雑化などで難度を上げてくるのは確実だ。どんな問題をぶつけられても対応できる英語力を養っていきたい!