2021国公立医学科合格者ランキング(合格者総数)
今春の国公立医学科合格者ランキング(防衛医大を除く)が発表された。現役、既卒合計のトップ10は次の通り(◎は私立)。
1.◎東海:93名(昨年94名)
2.◎久留米大附設:90名(65名)
3.◎ラ・サール:79名(62名)
4.◎洛南:72名(69名)
5.熊本:66名(45名)
6.◎西大和学園:65名(42名)
7.◎東大寺学園:61名(58名)
8.◎愛光:55名(63名)
9.◎桜陰:54名(42名)
10.札幌南:52名(55名)
10.旭丘:52名(30名)
林先生の母校東海が14年連続で全国トップを死守したが、18年の132名から40名近く減らしてきている。東大合格者でも開成が昨年比40名減でも余裕の首位キープなので、トップ校の実力は突出している。その東海に迫るのがホリエモンの母校久留米大附設、昨年比25名増やした同校の進学指導部は「13年に中学を男女共学化し、医師を目指す女子が増えてきたことが合格者増加の一因で。志望者が多いことから国立医学科受験が当たり前の環境になり、一緒に頑張るという雰囲気が醸成されたことも大きい」と語る。 同じく共学化した洛南、西大和、愛光も理系女子パワーで毎年安定して医学科合格者を出している。
注目すべきは、各地域のトップ公立校が健闘したこと。5位に前年比21名増やした熊本が躍進し、10位タイに札幌南と旭丘がランクイン。これらの公立高校は、多い県で20名近く採る地元医学科の地域枠推薦を独占する。熊本は熊本医合格者総数のほぼ1/3を占める35名を合格させ、札幌南も北大医15名、札幌医25名で合格者数トップ。岡山医は地域枠推薦が4名しかないのもあって、今春岡山の高校は現浪合わせて90名しか国医合格者を出せなかった。県全体でも上位の2校に及ばないのが現実だ。
国公立大医学科の志願者数は、情報系を中心とする理工系学部の好調な就職を背景として減少が続いてきた。しかし、21年は前年度を100とした志願者指数で99、前期のみの集計では7年ぶりの増加で、志願者減に歯止めがかかった。駿台教育研究所は「コロナ禍で医療現場の厳しい状況が報道されたが、むしろ「自分も社会に貢献したい」とプラスに捉える受験生が多かった。経済状況の悪化による就職への不安感から医学部人気が戻ってきた」と指摘する。
ランキングを見ると、先取り学習する私立中高一貫校がトップ30校のうち23校を占めた。医学部志向の高い西日本の久留米大附設、ラ・サール、西大和学園、愛光など学生寮のある学校も強い。全国入試を行い優秀な生徒を集められること、寮生活に自習や補習の時間を組み入れ充分な勉強時間を確保していることなどが好結果につながっているようだ。
第1回大学入学共通テストでは900点満点で9割以上の得点層が激減しました。思考力重視の新傾向問題が出題され、特に読む量の増えた英語・数学、理科の物理・化学(生物の平均点上昇で得点調整)などで苦労していたようです。先取り学習で高3の1年間を実戦演習に集中できる有名私立中高一貫生は問題傾向をひねられても「その場で初見の問題に対応できる」地力をつけていたので有利だったのではないでしょうか。