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2次試験2割台で合格できた国公立薬学科

Sep. 29, 2021 大学合格戦略

実に国公立大学の入学試験は多種多様である。大学入試改革ど真ん中の最前線で、常に受験生に寄り添ってきた講師として、臨場感のあるブログをお届けしたいと考えている。

標準的な理系学部共通問題を出題する岡山大医学科などは2次試験でも8割以上の得点が必要だが、今春は2次試験の得点率が何と2割台で合格できた国公立薬学科があった。

単科医大は岡山大のような総合大学と違い、他の学部に遠慮することなく難問を医学科受験生だけにぶつけることができる。英語の医学論文をそのまま数ページにわたり出題する東京医科歯科大、恐怖医大と言われるぐらい難問で有名な京都府立医大、京医・阪医など旧帝医落ちが復活を目指してくる奈良県立医大の後期入試、いずれも難問揃いである。

和歌山県立医大は地方公立大学にも係わらず入試問題がやたら難しいので人気がイマイチの単科医大だった。その和医大に関西の公立大学初の薬学部が新設された。和歌山市中心部にあった小学校跡地の再開発プロジェクトの一環として立派なビル校舎が建てられ、関西圏で京大・阪大の旧帝薬学部のハードルが高かった受験生に歓迎されたが、さすがに初年度から薬学部専用の入試問題は間に合わなかったらしく、医学科との共通問題 (数学は若干易化した模様) を解かされたのである。

結果、共通テストで82%取れていた生徒が受験していたら、合格者最低点を超えるのに2次の得点率は25%でも合格していたという驚異的な低レベルの戦いとなった。国公立薬学科いのち!の女子さん、担任から「和医大薬学部なら共テの高得点で逃げ切れるぞ」と勧められ、医学科数学の過去問を解いてみたところ「こんな誘導なしのムズイ問題解けん!」と悲鳴を上げてしまった。

予備校の合格判定システムでは2次で3割取れれば、82%超取れた共テのアドバンテージで逃げ切り可能だったが、その生徒さん「きちんと解いて受かりたかった」らしく1次:2次比率が6:4の長崎大薬学科に志願変更し、7割以上2次も取って自分が納得のいく合格を果した。周りから見れば「受かったらいいんじゃない」と思うが、6年間土曜も返上の私立中高一貫校で努力してきた受験生の矜持を垣間見た気がしたのである。