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コロナ禍の21年度入試で何が起こったのか?

Dec. 04, 2021 大学合格戦略

今春香川大医学科の2次試験を受験した岡山朝日の男子君から「過去問で無かった選択問題が数学・理科で出たり傾向が変わって、1時限目の数学で失敗してしまった」と報告があった。得意の数学と当塾で伸ばしてくれた英語の主要2科目を武器にする戦略だったので一瞬不安がよぎったが「2時限目の英語は執念の2次対策と鍛えてもらった自由英作文でリベンジできました!」と出願倍率4.8倍の難関を見事に勝ち抜いてくれた♪

コロナ禍の2020年3月から5月まで、全国で多くの高校が一斉休校の措置を取り、公立高校を中心に授業進度に遅れが出た(少人数制の当塾は1日も休まずに続けられた)。そこで文科省は入試問題の出題に関して、各大学へ現役生と既卒生の学力格差を考慮した出題をするように、①発展的な学習内容を除外・配慮、②出題範囲で調整、③選択問題を用意するという要請を出したのである。

そのため国立大学では、履修範囲後半で教える物理の原子、化学の高分子化合物、数学III分野からの出題が前年までと比較して減少した。例えば、名古屋大の理系数学では21年度は数学IIIからの出題が無かった。故に、過去問演習をする際には「去年の出題は特別だったかも?」と気をつけて対策するべきであろう。

センター世代の既卒生と比べ、共通テストのみを目標にしてきた現役生に有利に働くと予想されていたが、文科省による授業進度の遅れを配慮して欲しいという大学への指導のおかげで、更に現役生に有利となった。東京の或る医専予備校の21年度と20年度での医学部医学科(国立・私立)に合格した実人数は前年比で高3生は約150%、浪人生は110%と、現役有利だったことを示している。

尚、現役有利だった結果には偏りがあり、高3生で現役合格した生徒の多くは高2終了時までに入試で必要な単元を終えている中高一貫校生だった。実際国公立医学科をはじめとする難関学科では桜陰や久留米大附設のようなトップ私立一貫校が現役合格者数を伸ばした。特に医学科入試では、先取り授業で高2までに必要な科目の勉強を終え、高3で受験大学の過去問演習を行うことが合格に寄与する。21年度入試ではそれを反映した結果となったのである。

現場の声として、合格実績を伸ばした高校の多くの教師が、高1の時から大学入学共通テストを意識して授業を行ってきたことが良い結果につながったと分析していた。当塾も敢えて最後のセンター試験を受験する高3生は募集せず、共通テスト第1期生となる新高2生に全集中してきた。

難関大学の英語の範囲は無限のフロンティアとなるので、21年度入試でもあまり個別試験の傾向が変わった大学は見られなかった。しかし、英語を早めに完成しておけば、数学や理科など出題傾向によって得点がぶれやすい「飛び道具」の科目も広範囲にカバーできるのである。是非とも英語を武器にして厳しい受験を勝ち抜いて欲しいと願っている!