2022国公立医学科合格者ランキング(合格者総数)
今春の国公立医学科合格者ランキング(防衛医大を除く)が発表された。現役+既卒合格者数のトップ10は次の通り(◎は私立)
1.◎東海:123名↑(昨年93名)
2.◎ラ・サール:76名↓(79名)
3.◎東大寺学園:68名↑(61名)
4.◎久留米大附設: 64名↓(90名)
4.◎灘:64名↑(49名)
6.◎洛南:61名↓(72名)
7.◎甲陽学院:60名↑(48名)
8.◎青雲:50名(50名)
9.◎桜陰:48名↓(54名)
9.◎北嶺:48名↑(37名)
9.◎滝:48名↑(38名)
トップ10全て私立中高一貫校が占めた。15年連続国公立医学科合格者トップの東海は123名と断トツの強さで前年比30名増加、同じく男子校のラ・サールは2位に、東大寺学園も3位に浮上したのに対し、昨年東海に3名差と迫った共学校の久留米大附設は26名も減らして4位に沈んだ。まさに国公立医学科入試は紙一重だ。トップ30まで広げて見てみると私立中高一貫校が22校、国立・公立高校が8校となっている。
公立高校勢は共通テスト大幅難化の影響があったのか?昨年5位の県立熊本が66名から42名へ、10位だった愛知の旭丘が55名から35名へと大幅に減らしトップ10から外れた。中四国でも12名減らした高松など入試の難化により地方の公立校はかなり苦戦したようだ。その中でも岡山朝日は昨年の15名(現役9名)から29名(現役17名)へと、戦後最多を更新した東大合格者(24名)と共に国公立医学科合格者も増やしたのが際立った。
今春久留米大附設と並んで変動があったのが西大和学園だった。昨年6位の65名合格から41名へ24名も減少、東大合格者は前年比3名増の79名(現役61名)だったので今年の卒業生は医学科よりも東大志向だったのかもしれない。東海をはじめ灘・東大寺学園・甲陽学院など男子校が医学科合格者を増やしたのに対し、久留米大附設・西大和・愛光などの共学校、南山女子部・四天王寺・ND清心などの女子校が低迷した。女子の選択が多い共テ生物の過去最低点更新、数学難化などの影響を女子生徒ほど受けたとも考えられる。
2022年は共通テストの難化により成績上位層も含めて平均点が大幅に下がった。国公立医学科合格には共通テストと2次試験の両方で高得点が求められるため志願者が減少するとの見方もあったが、実際は前年を500名近く上回った「国公立医学科志願者が増えたのはコロナ禍で就職が厳しくなる中、東大・京大の理系学部よりも安定した医師への道を目指す人が増えたからでしょう」と駿台教育研究所は分析する。
特に共通テスト数学の大幅難化により、同科目の配点比率が20%以下の8大学のうち滋賀医大や香川大など5つの医学科で志願者が増加した。一方、今年から700点と高い足切り点を設定した名古屋大は敬遠され1.7倍まで倍率が下がったが名医が易化したわけではない。高校別合格者数は東海(37名)が公立のライバル旭丘(6名)との戦いを圧倒的な差で制しトップ私立校の強さを見せつけた。今年の国公立医学科入試をまとめると、公立よりも私立中高一貫校、女子校&共学校よりも男子校が強かった。