国立医学科の定員数削減の足音が聞こえる!?
国立医学科の期限付き医師確保対策の増員枠はコロナ禍の医療逼迫で延長されてきたが、今年度は下記の国立医学科で少しずつ減員の動きが出てきている。一方、新潟など人口当たりの医師数が低い県に在る大学では若干名の増員があるようだ(2022年9月末時点において)。
(一般枠が減る予定の国立大医学科)
北海道大医学科:7名
東北大医学科:2名
東京医科歯科大:10名(地域枠へ)
名古屋大医学科:5名 (地域枠へ)
大阪大医学科:3名
岡山大医学科:3名
徳島大医学科:5名
九州大医学科:5名
長崎大医学科:5名
鹿児島大医学科:2名(後期)
上記のように近い将来の定員削減に備えて一般枠の定員を減らす動きが始まっている。2009年から医師の偏在対策として医学部医学科の定員を増やしてきたが、永続的なものではなく期限付き増員だった。20年に開かれた厚生労働省「医療従事者の需給に関する検討会」では医学科の定員数を減らす方向性が改めて確認されており、22年度以降の増員継続については「医学部臨時増員の暫定的な維持について」という国から提示された方針に従い、文科省への個別申請が必要となっている(例えば弘前医は前期募集で27名分もの暫定措置増員の認可待ちの状態)
(定員が増える予定の国立大医学科)
新潟大医学科:7名
岐阜大医学科:10名(後期廃止分)
鳥取大医学科:1名
山口大医学科:2名
定員が増える予定の大学では歯学科の定員を振り替えたり、その地域の医師不足を理由に地域枠を増やしている。しかし人口当たりの医師不足が深刻な新潟を除き、1名から2名の増員であまり大きなインパクトはない。最難関の東京医科歯科大の前期10名減員分については、茨城県・静岡県・埼玉県の地域枠推薦分に充当するようだが、他の都道府県から医科歯科を受験する人にとっては定員削減により更に狭き門となる。
中四国でも愛媛医の地域枠推薦Bが15名も削減されると、去年は全国一の高倍率だった一般枠へ愛光などの受験生が流れ競争が激化する。岡山医前期の定員減は3名だが合格率が3%も下がると考えるとボーダー前後で競っている人達にはプレッシャーとなるだろう。主に一般枠の定員が減らされており、地域枠がない東京など都会の進学校からの地方国立医学科への受験は厳しくなるだろう。
現役時は憧れの大学にチャレンジ、浪人してランクを下げ現実校に合格を目指す受験生も多いが、定員減少に転ずると先送りするほど倍率Upして不利になる。高い面接点をもらえる確率が高い現役時に過度に大学名にこだわらず、一発勝負へのリスクヘッジとして総合・学校推薦型選抜で受験回数を増やすことも検討しながら、自分の持ち点を高く評価してもらえる医学科で早めに合格を勝ち取るべきでは?現役生や1浪生までしか推薦選抜を受けられない医学科が多く、浪人生で学費の高い私立大医学科併願の選択肢がない人たちには厳しい状況となっていく。私立医大を含め近い将来に臨時増員枠が打ち切りになるのは確実な流れで嵐の前の静けさの様相を呈している。