薬学部薬学科と歯学部歯学科の差は?
河合塾が第3回全統共通テスト模試及び記述模試を基に最新の入試難易予想ランキングを発表した、塾生の志望が多い国公立医学科では共テ開始後の2年間で最も合格し易い国立医学科といわれる弘前医が50%合格可能共テ得点率を76%まで伸ばした結果、最南端の琉球医の74%が全国最低ボーダーとなっている。
今回は歯学部歯学科と薬剤師免許が取れる6年制薬学部薬学科との差が開いている状況に注目したい。医歯薬3学部を擁する地方国立大学の共テ得点率は次の通り、
★広島歯(69%)<広島薬薬(72%)
★岡山歯(67%)<岡山薬薬(70%)
★長崎歯(66%)<長崎薬薬(69%)
★徳島歯(64%)<徳島薬薬(69%)
各大学共、歯学科の共テボーダーは薬学科よりも30点近く低くなっている。特に先端のmRNA技術を駆使する新型コロナワクチンの開発などで創薬が脚光を浴びるようになった最近3年間は国立薬学科の志望者増加が目立つ。一方、歯科診療所がコンビニの数より多いと歯科医の供給過多が懸念される歯学科はもはやNo.2 学部ではない。医歯薬ではなく医薬歯系に呼び方を変えるべきかもしれない。国公立最下位の九州歯科大は徳島歯と並び共テ576点がボーダーだ。ご父兄方の時代はセンター試験500点台で国公立歯学科に合格できるなど考えられなかっただろう。地方の私立歯科大に至っては定員割れの状態が長い間続いている。
国立薬学科の躍進ぶりを示す例として、上位を見ると京都薬は岡山医と並ぶ81%ボーダー、大阪薬は旧六医大の新潟医・金沢医と並ぶ77%と難関。国立薬学科の定員が500名足らずと少ないのも主な要因だ。一方、歯学科の凋落を示す例を挙げると、東のトップ東京医科歯科大歯学科が広島薬と並ぶ72%、西のトップ阪大歯学科でも熊本薬と並ぶ71%まで下がり、旧帝大歯学科でも北大歯学科や東北大歯学科が同じ大学の放射線技術と同レベルまで落ちている。
今年度からお向かいの香川大医学科も岡山大医学科に続き国際バカロレア(IB)枠を導入する。その分一般枠の定員が減員されるのでは?と心配したが、IBの書類審査だけで決める岡山医と違い香川医はしっかり英・数・理4科目の記述試験を課すようで、おそらく合格者は出ない。IB課程と国立医学科レベルの記述対策を両立できる受験生ほとんど存在しないからだ。当塾にも香川医の志望者がいるので一先ずほっとしている。
近年伸長が著しい国際バカロレア課程は公立高校でも開設が相次いでおり、米子東・鳥取西高校と並ぶ鳥取県の公立トップ3である倉吉東高校が山陰初のIB認定を取得した。来年度第1期生が卒業する朝日塾中教も地元岡山大医学科のIB枠5名を目指してくるだろう。国立医学科への合格ルートはますます多様化してきている。