3年目の共通テストを終えて、大手予備校の見方
3年目の共通テストを終えて、駿台・河合塾の2大予備校が共通テストの測りたい力は何ものか?について講評していたのでまとめてみたい。
★センター試験とは別物の試験
同じマークシート式だから形式は変わっていないとか言う塾講師さんもいるが、記入形式が同じだけで作問のコンセプトは全く異質な試験だ。センター試験が基礎的な学力を測っていたのに対し、共通テストでは大学入学後に知識をどう使えば問題解決できるのか?様々な場面を提供しながら現場力を測るような工夫がされている。更に出題される文章・資料などの情報量が大幅に増え読解力、地頭が要求される度合いが増えた。3年目で見えてきたのが、センター試験に比べて8割以上取ろうとすると努力の量に対して点数が返ってくる可能性が低い傾向があるということ。厳しい中学受験を勝ち抜いた私立中高一貫勢が合格実績を伸ばしていることから地頭力がある人が有利になっているのは確かであろう。
★生物は教科書が難しくなっている
生物が昨年に続き過去最低の平均点を更新したが、文系も生物基礎が50点満点中24.7点と他の理科基礎科目より低かった。去年も平均5割切っていて高校の生物という科目自体が難しくなっている。現在使われている生物の教科書は最先端の事象を扱っており生物教員の多くもついていけてないという。毎年生物選択の生徒が減っているが、その選択は正しいかも。但し医療系や農学系ではまだ生物選択の人が多く影響は大きい。
★共通テストの課題
共通テストは思考力を測るためにいろいろな分野を組み合わせ、凝った出題をするため難易度を揃えるのが難しいのは理解できる。が、センター試験31年間で得点調整は2回しかなかったのに、共通テストでは3年で2回とは多すぎる(特に理科)。多くの受験生の人生を左右する試験なので各科目のチーム間で難易度を揃えて欲しい。平均点が下がった日本史を易化させ、高かった世界史を難化させて調整した今年の地歴担当は理科担当と比べて連携が良かった。
共通テストが測ろうとしている力とは?今の社会が求める様々な情報を組み合わせて解答を得ようとする力では。文章の長い問題を見て「こんなの数学じゃない」と言う人もいるが、教科の力は各大学の個別試験で見ればよい。現在も旧帝など難関大では2次の配点が高く共通テストの使い方を工夫すればいい話だ。英・国・数の3科目は高2までの範囲なので早く基礎を固めて模試などで新しい形式の問題を多く体験し初見対応力をつけていくことが大切だろう。
全体を通してセンター試験よりテクニック的な要素は薄れており対策が立てづらい試験になった。解法パターンの練習に時間をかけることで合格させていた中堅予備校の合格実績が共通テスト導入後落ちてきていることが示している。センター時代、上位層は満点を取るつもりで勉強していたが、共通テストでは「全部解けなくてもいい」という気持ちで自分の志望校に合格できる点数を戦略的に狙うことが必要となるだろう。