コロナ禍でも医療系学部は志願者増加へ
コロナ禍の3年間で社会や生活様式は様変わりしたが受験生の間では医学科の人気が盛り返している。その背景には、医学科志望の女子の増加とコロナ禍の生み出した将来への不安があるという。少子化と私大では入学者の6割を占めるようになった学校推薦型・総合型といった「年内入試」の拡大で大学入学共通テストの受験生は減っているが、国公立医学科志願者は増加に転じて志願倍率も上昇している。前年を100とする志願者指数で23年度は医学系105、歯学系109、薬学系102と国家資格が取れる医歯薬学部はいずれも志願者増だった。
共通テストの前身のセンター試験時代から見ると2015年のピーク時に前期入試で2万人近くいた国公立医学科志願者は毎年減少し21年は約1万4800人となった。しかし、コロナ禍に入った22年から2年連続で増加し、一般枠の定員減少もあり23年度前期の志願倍率は約4.5倍、後期入試は21.5倍となり2001年以降で最高倍率となった「特に女子が増えている傾向にあり、昨夏の模試でも国公立大医学科で女子志望者が前年から2割近く増加していた」と河合塾は解説する。世界的なインフレによる景況感の悪化は受験生の安全志向に繋がり、特に地方の成績の良い女子高校生が医師や薬剤師資格を目指すようになり医療系学部の人気が高止まりしている。
志願者は首都圏など自宅から通学できる範囲で「国公立大と私立医大を併願する層」と「国公立大に絞って地域を問わずに全国の大学を受験する層」に二極化する。志望校選びで重要な要素となる費用については学費だけで国公立大は6年間で約350万円、私立医大は1850万円~4700万円程度必要となる。最も安い国際医療福祉大は17年度の開設当初から人気の高倍率で、関西医大は23年度から学費を大幅値下げし私大で3番目に安い約2100万円にしたことで倍率が上がっている。
主に2005年生まれが現役生として入試に挑む今年度は合計特殊出生率が1.26と過去最低を記録した18歳人口が少ない学年となる。翌年の大学入試改革第2弾さえなければ今年はチャンスの年になるはずだったが、入試改革の前年は安全志向が強くなる傾向が強く他に代わる学部がない医学科入試は激戦が続くだろう。今回の学習指導要領変更では情報Iの追加に加えて数学・国語・社会の科目が再編され出題範囲も変わる。1年間は移行措置があるが、移行措置の問題は難しくする(共テの数2Bも現役生が新たに履修した数2BCに合わせて10分延長)傾向があるので浪人してもあまり有利になることはないだろう。
医学科受験は職業選択という人生をかけた勝負だ。医師免許を取るためには医学科に入るしか選択肢がない。安全策ばかり勧めているようだが、たとえ1点差でも不合格だと1年単位のダメージを受ける。合否という2択の結果しかないので、考え得る全ての受験戦略を駆使して合格可能性をできる限り100に近づけていくべきだ。東大崇拝の伝統校では京大・国立医学科を目指す塾生にも進路指導で東大受験を推してきた。少しでも合格実績が出る可能性を高めるために不確実な目標をギリギリ狙わせて3人に1人位受かったら良しなのだろうか?緊張する本番では順当に行かないことも考慮し余裕を持って受かるように狙うべきだというのが、生徒さんの現役合格が唯一無二の目標である当塾の理念である。