河合塾が入試難易予想ランキングを更新!
夏の天王山だった全統第2回共通テスト模試&記述模試のデータを基に河合塾が各大学の50%合格可能性ボーダー共テ得点率を更新した。中四国の9校の国立大医学科で、春の第1回模試と第2回模試の得点率及び2次偏差値を比較してみると
岡山医:84%↑(67.5)>83%(67.5)
広島医:83%↑(65)>82%(65)
徳島医:81%(62.5)=81%(62.5)
香川医:80%(62.5)=80%(62.5)
鳥取医:80%(62.5)=80%(62.5)
高知医:80%(62.5)=80%(62.5)
山口医:79%↓(62.5)<80%(65)
愛媛医:79%↓(65)<80%(65)
島根医:78%(65)=78%(65)
中四国の2トップ、岡山医と広島医のボーダー得点率が1%ずつ上がり、岡山医は50%合格可能性で750点を超え、同じ旧六医大の金沢医も2%Upした。新課程入試を翌年に控えた24年度入試では「後がない」意識から浪人を極力回避したい全国の上位医学科を目指す人が新幹線の便もいい金大・岡大・広大なども志望に入れる「安全志向」の傾向が現れて難易度が上がっているのかもしれない。今春全国最多の岡山医合格者を出した地元伝統校の成績が振るわない中でのボーダーUpは上位から降りてきたともとれる。中四国では今回山口医と愛媛医が1%下がっていた。32万人以上が受験したメジャー模試なので1%の動きと言えども意味を持つだろう。
全国でみると、前期は東大理3の91%がトップ、後期では名古屋医(共テ配点100%)が93%と第1回模試より1%伸ばし全国の医学科で最高ボーダーを維持した。全国最高の共テ比率90%となった奈良県医前期も86%へ2%上げており、共テが得意な1次マーク逃げ切り組が押し上げているとみられる。旧帝大医学科では日本初の国際卓越大学に選出された東北大の医学科が北大医学科との差を2ポイントに広げた。東日本の最低ラインは秋田医・福島県医が1%上げて弘前医・群馬医と共に78%、西日本では島根医が最後の砦で同じく78%(702点)だった。85%以下では国公立医学科への合格が厳しかったセンター時代とは隔世の感がある。
伝統校は共通テスト模試直後の自己採点分析が迅速なので参考にさせてもらっているが、8割以上の高得点者が前年と比べると激減していた。1クラス定員を減らしたのにも係わらず文系が約180人、理系が140人と逆転していて、理系5クラス+文系4クラスに慣れてきた者には驚きだ。東大文系への合格率が高いので数を増やすために国立文系に誘導しているとしたらその東大愛は半端でない。
駿台などの予備校は「浪人しても新課程入試は影響ない」と言っているが、浪人生がいなければ困る予備校業界のポジショントークに聞こえてならない。新設される情報I、科目が変わる地歴・公民(廃止される現代社会の後継科目となる公共とのペアとなる倫理、政治・経済などの1科目選択がNGへ)、履修範囲の組み替えがある数学において共通テストでは1年限定の経過処置で現行課程の問題を選択することができるが、国公立大2次試験や私大入試も新課程範囲に移行するので浪人してもプラスになることはないはずだ。
今年の受験生の安定志向を示すデータとして国立医学科では筑波医の学校推薦型入試(岡山大と同様に英語資格検定試験C1レベル以上を総合評価に加点)と並び、数少ない「共通テストを課さない」高知医の総合型入試(定員30名)は昨年の倍率5.9倍に対して今年度は7.6倍もの志願者を集めていた。2代目の作問委員がやりたかった問題を出して2年の任期を終える4度目の共通テストを警戒してか(2年目の共テも難化した)「年内入試」で早めに決めたいと願う国立医学科志望者が全国に多数存在することが注目される。