今年度の国立医学科推薦入試倍率は増加傾向だった
2025年度から新たな学習指導要領での新課程入試が始まったが、今年に限り数学や地歴・公民、情報など出題範囲が再編される科目において旧課程の問題を選択できる経過措置が用意され名実ともに今年度が旧課程最後の入試となる。過去のセンター試験の例を見ても旧課程最後の年度は既卒生の安全志向が働き一発勝負の国公立大受験校のランクを下げたり、私立大を受験する場合は併願校を増やす傾向が見られた。
最も大きな変化は、新科目「情報I」が追加されたことだろう。共通テストはそれまで5教科7科目900点満点で受験していたが、情報Iの追加で6教科8科目1000点満点となる。多くの大学が傾斜配点を行うため、実際に情報Iがどの位の配点比率になるかが注目された。北大、徳島大、香川大の3校は初年度は情報Iを得点化しないことを決定したが、広島大のように1000点満点中100点をそのまま情報に配点する大学もある。
今年は国公立医学科でも学校型推薦・総合型の前受けをする受験者の増加を予想していた。実際、現役生対象の一般枠推薦入試を行う医学科の志願者数に注目すると倍率が前年より軒並み上がっていた。
東京科学医(定員5名):6.6倍↑(昨年5.0倍)
山形医(25名):5.0倍↑(同3.9倍)
鳥取医(15名):4.2倍↑(同3.7倍)
東日本では最難関の東京科学(旧医科歯科)大医学科(現役5名の超難関に広大福山女子さんが合格したのはお見事!)、山形医の倍率は5倍を超えた。鳥取医はお隣の兵庫県にたすき掛けの研修病院がある関係で関西圏の進学校から受験する人が多く、定員15名の一般枠推薦は一次が面接のみで負担が軽いこともあって毎年人気が高い(共テ合格点も高い)。学費の高い私立医大でも推薦入試の志願者が増加しており「今年で決めてしまいたい」受験生の本音が反映されている。
後がない浪人生に重複合格が可能な防衛医大(香川県の一次合格者の大半をTよび生が占めるが今年は14名(正規合格4名)と少なかった)、自治医大、産業医大など3官立医大を合格者数を増やすために受けさせるTよびさんは地域枠推薦にも積極的だ。理事長さんの本にもあったがセンター試験の最上位層が地元国立医学科の地域枠推薦で合格していくことも多々あったという。一昨年も四国の私立中高一貫高で首席女子が地元国立医学科の地域枠推薦で絶対合格し次席の男子が旧帝大の九州大医学科にチャレンジ合格していた。地域枠など推薦入試合格者の中には現役志向の女子を中心に確実に合格を決めたい上位層も含まれているので一般入試より下に見てはいけない。地域枠の定員には緊急医師偏在対策の増員分が含まれるが、岡山や四国3県など医師多数県から少数県への振り替えが厚労省で検討されている。岡山医鳥取県枠や佐賀医長崎県枠のように減員されると一般枠に上位生が流入し競争が激化するので定員が減らされる前に合格をつかんでおく方が賢明だ。
今年の高3生は全員現役合格いのちの女子さんだが、1名が地元岡山大理学部の年内推薦に一発合格、もう1名が愛媛大医学科の推薦合格と半数が進路を決め幸先の良いスタートだ。上位層がひしめく難関国公立大学入試では出願校選びを間違うと合格が絶望的に遠のいてしまう。共通テストの自己採点後は河合塾、駿台のリサーチ判定システムなどで全国から受験生に最適の大学を探し出して前期の出願校を決め、その後はわき目もふらず各国立大の2次記述英語の演習をしてきた。わずかなミスで運命が左右される戦いもいよいよ来週が最後の仕上げと佳境に入ってきている。入塾希望者の皆さん、説明会はもう少しお待ち下さい。