2024国公立医学科現役合格率ランキング
前回の現浪含めた合格者数に続いて国公立医学科の現役合格率のランキング(重複合格可能な防衛医大合格者を除く)は次の通り、トップ10は国立の金沢大附属を含め全て中高一貫校が占めた(◎は私立、△は国立)
1.◎北嶺:24.8%(現役合格29名)
2.◎久留米大附設:24.1%(49名)
3.◎ラ・サール:18.6%(37名)
4.◎桜陰:17.3%(39名)
5.△金沢大附属:15.8%(19名)
6.◎灘:15.6%(34名)
7.◎東海:14.5%(56名)
7.◎東大寺学園:14.5%(30名)
9.◎愛光:13.6%(30名)
10. ◎星光学院:13.3%(24名)
国公立医学科現役合格率24.8%で全国1位に躍り出たのは北海道の北嶺だ。生徒数117名の男子校だが、東京・大阪・名古屋など主要都市で会場受験ができ全国から医学科を目指す学生を集める。学生寮ではOBの北大医学科・札幌医大生がチューターとして教え北嶺メディカルスクールという医療体験プログラムもある。昔から医師を目指す子弟を鹿児島ラ・サールで中高6年間寮生活をさせる家庭があったが、全国から寮生を募る男子校の北海道版と言える。地域枠が多い地元の札幌医大・旭川医大への合格者で稼いできたが、今春は東大理3、大阪医、東北医2名、北大医学科7名で旧帝大医学科11名全員現役合格と内容も歴代で最も充実していた。
2年連続全国1位だった久留米大附設は、今年も卒業生の4人に1名近くを国公立大学医学科に現役合格させた。同校の男子は浪人覚悟で九大医学科(22名合格)に特攻するが、女子は隣接県の佐賀医(14名)、熊本医(9名)、山口医(4名)などへ手堅く合格してくる。国立の金沢大附属を含めてトップ10全て中高一貫校が占めた。現役合格率を見ると私立校の優位さが目立つ。各高校へのアンケートを実施した大学通信は「公立高の場合浪人率の高さが目立つ。医学科入試では共通テストと2次試験いずれも高い完成度が求められるので、中学から大学入試を見据えて先取り学習する中高一貫教育の効率の良さが証明されている」と解説。入試は構造上相対評価なので出題範囲を早く終わらせる一貫校勢に追いつける高校受験組はほんの一部でしかない。
私立高校は桜陰や灘など東大合格者数も多い高校が並んだが、1位の北嶺、5位の金沢大附属などのように少数精鋭で生徒数が120名以下の高校もランクインした。公立高校は定員400名の熊本など分母が多いので合格率は低くなりがちだ。附属中学から半数も内部進学できない北陸トップの金沢大附属高校は約16%と高い国公立医学科現役合格率を達成した。正式名は金沢大学人間社会学域学校教育学類附属高校と日本一長い名前の学校だ。
コロナ禍もあり先行きが不安な経済情勢が続く中、女子だけでなく理系トップ層全般の医学科人気が上がっている。国公立医学科の前期一般選抜の志願者はAI分野など情報系の理工学部人気もあり2010年代半ばから減少傾向にあったが、共通テストが導入された2021年度入試で増加に転じ、18歳人口が減った24年度も前年並みの出願で国公立医学科の人気は衰えていない。出願者数が前年比15%増となった私立医大との併願者数の増加には翌年に新課程入試を控えて浪人したくない受験者心理が反映されている。今春は岡山県の公立高校からも関西私立医大最難関の大阪医科薬科大、関西医大へ例年より多くの国立大との併願合格者が出ていた。