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2024国公立大学への現役進学力(中四国編)

Jul. 20, 2024 大学合格戦略

真の高校の合格力は現役合格率だと思うが、深堀りすると現役生の進学率が究極の指標となるだろう。特に早慶、同志社大などに自宅通学可能な関東、関西の進学校の生徒にとってトップ私大は第1志望の東大、京大の併願校となり有名私大の合格者数と進学者数は乖離が大きくなる。国公立大の場合は合格者数と進学者数がほぼ同数なので、高校の合格力を測るのに最適な尺度となるだろう。

中四国9県の高校の国公立大学の現役進学率のランキングは次の通りトップ5は全て公立の高校・中等教育校が占め岡山県からは大安寺中教と岡山芳泉がランクインした。但し、岡山芳泉が推薦入試中心で岡山大を始めとする地方国立大で稼ぐのに対し、大安寺中教は東大13名、国公立医学科13名現役合格と難関国立大に現役合格しているので、質の面では少数精鋭の大安寺が圧倒している。2024年の国公立大学進学実績を当塾の主力である広大福山と岡山朝日と比べてみると、

1.松山南:76.2%(進学者数259/卒業生数340)
2.広島中教:73.4%(進学者数80/卒業生数109)
3.松山北:71.6%(進学者数250/卒業生数349)
4.大安寺中教:69.8%(進学者数104/卒業生数149)
5.岡山芳泉:68.9%(進学者数206/卒業生数299)
★ 広大福山:55.5%(進学者数111/卒業生数200)
★ 岡山朝日:38.5%(進学者数131/卒業生数340)

塾生の8割を占める広大福山、岡山朝日の現役進学率の低さが気になるところだが、岡山朝日は全国でも最後に残る補習科を擁し4年目も面倒見てくれる「行ける大学より行くべく大学へ浪人覚悟で挑戦させる」校風であるし、中四国の高校偏差値No.1の広大福山も東大・京大・医学科など最難関国立大を目指す生徒が多い分、現役進学率が上がりにくいのは仕方がないのかもしれない。

岡山芳泉は国公立大学合格者数の約半数を学校推薦・総合型入試で占め、前期一発勝負にこだわる公立トップの岡山朝日の隙をついた戦略で漁夫の利を得ている。今年は県内現役進学率で大安寺中教、4年連続全国1位だった岡山大合格者数でも倉敷青陵に僅差で敗れたが、現役合格者数は5年連続岡山県内トップを維持した。広大福山は塾生を見ていても青春を満喫しているが、定員200名=卒業者200名と3年間でほとんど脱落しない稀有な高校だ。

岡山朝日は今春157名の国公立大合格者を出したが、進学者が約130名ということは、前期の東大・京大・国立医学科など第1志望校が残念だった生徒が、中・後期で復活した大学を辞退、浪人してまで再起を期する人が一定数いるということだろう。もう1年頑張れば翌年の合格が保証されているのなら有効な策だが、現役時に合格最低点を取れなかった浪人生は現役で合格していく次年度の最上位層に及ばない場合が多い。今年の朝日高の既卒生で東大理系合格者はゼロ、京大合格者もわずか1名だった現実が浪人してまで第1志望を目指す戦略のリスクを示唆している。

東大や京大でも100%進学している訳ではない。東大の2024年度一般選抜合格者は2981名で12名の辞退者がいた。文科類の辞退者はそれほど多くないが理Iで3名、理IIで5名辞退している。医学部志望の理科類の合格者が私立最難関の慶応大医学部に抜けるケースが多いようだ。今年灘高から理3に現役合格した国際物理・情報オリンピックW金メダルの天才は東大理3中退という箔をつけて秋からMITに進学するらしい。医学研究を極めたいと言うよりは日本最高峰を目指した目標達成組だろう。広大福山の文2現役合格者も1名進学していなかったが慶応大を選んだそうだ。京大の一般選抜は合格者2701名中、東大より少ない辞退者7名だった。彼らの合格は真に研究がやりたかった人達の機会を奪っているのかもしれないが、入試はフェアでシビアな学力勝負なので致し方ないだろう。

国立の岡山大学でも後期を廃止して総合型入試を導入するなど推薦・総合型入試の定員が年々増える中「現役時が合格できる最大のチャンス」という信念のもと現役合格への可能性を最大限高める戦略を推奨している。日本の大学入試は年1回しかなく、失敗すると翌年まで復活は持ち越しとなる。メンタル面、金銭的なプレッシャーもきつくなる浪人生活はできる限り回避して、多少の妥協をしても納得できる大学に現役合格してもらいたいと心から願うばかりだ。