共通テストが試行調査寄りに戻る可能性!?
いよいよ2022年度入試が9月から出願が始まる総合型選抜(旧AO入試)からスタートした。新型コロナウイルスの第5波が広がる中、今年の大学入試をめぐる状況は昨年とどう違うのか?2回目の大学入学共通テストで何か変化があるのか?代ゼミの教育推進本部長がコメントしている。
昨年と比べると大学入試をめぐる状況の変化には2つの側面がある。
一つ目は新型コロナウイルスへの対応。昨年は入試が行えるかもわからない状況だったが、今年は大学、高校、そして受験生もコロナへの対応に慣れ、社会的な免疫がついている。その一例として模試も学校や会場で実施できている。
二つ目は初めて導入された共通テストの平均点が予想以上に高かったこと。来年も従来のセンター試験とあまり変わらないのではないかという受け止め方が学校や受験生にある。今春の入試では私立大学も志願者数が戦後の入試で最大の減少数となり、共通テストの結果と合わせて「受験が易しくなったのではないか」という風潮が蔓延している。
しかし、過去の共通一次試験やセンター試験は新課程2年目に難しくなってきた。この緩んだムードの中で共通テストの2年目は難化のジンクスが再現される可能性も十分あるのだ。
初回の共通テストは、試行調査と比べると、変革したかったことを出し切っていない感がある。例えば、連動型の問題(前問の答えとその後の問いの答えを組み合わせて解答させ、正答となる組み合わせが複数ある問題)は物理と物理基礎以外になく、センター試験と変わらない形式だった。国語では試行調査で出た実用文の出題がなかったのは、断念した記述式で準備されていたからだと噂され、今回は出題されると読む予備校も多い。読解力が初年度以上に要される問題が増え、難易度は上がると見られている。
東進によれば英語はセンター試験と比べ、単語数が3割近く増え、グラフ・図表・イラストの数は14倍になった。リスニングもマーク数が約5割増、ページ数が8割増となり、限られた時間で情報処理する能力がより問われるようになった。細かい形式の変化に「早期から対策した者とそうでなかった者とで大きな差が出ただろう」と指摘する。
大手予備校が模試や予想問題集の英語リーディングで、本番形式をコピーした問題で歩調を合わせてきていることには危うさを感じる(Z会は試行調査ベースを予想)。 前年度の形式がそのまま次の本番で出題されることはあり得ないだろう。 英語担当としては第1日程型の照らし合わせ問題、第2日程型のデータ読み取り問題、そして去年外された試行調査型の全部解答・組み合わせ問題など、多様性に富んだ実戦演習を重ね、生徒の思考パータンの固定化をできるだけ避けるよう仕上げていきたい!