2024年岡山大2次英語を解いた感想
入試英語おたくの講師は、生徒さんからもらった河合・駿台ベネッセの共通テスト模試、Z会予想問題などこの世に出た230題以上の共テ英語を解き、中四国の9国立大学の2次英語も4期生までの生徒(地方国立大を受ける人は全員医学科志望)が志望しなかった広島・高知大英語を除き、島根医の医学科専用英語、徳島医の医歯薬学部専用英語も含め過去問5年分は解いて傾向分析してきた。
今年は岡大英語を塾生に集中特訓したので早速山陽新聞を買って解いてみたが確実に易化していたと考える。岡山大が英語外部試験のC1みなし満点者を認定するのは出願時で、それ以前から相当数の認定者が来るのを予想していたとすれば、C1無しの受験者と大きく差がつかない様に2次英語で難易度調整したのではないだろうか?医学科の厳しい採点基準も緩めてくれたのではないかと思う。ついでに香川大英語も解いたが簡単過ぎて拍子抜けした。3年前から傾向変化したグラフ描写英作文なんて早期から英検準1級などで添削指導してきた塾生たちは、九大、広島大英語のグラフ問題で慣れてもらえばすぐ書けるようになるだろう。
長文2題:
2題とも論説文で問1はミシシッピ川からメコン川流域のコメ栽培によるメタン排出問題について、共テ地理で高得点だった塾生2人は背景知識があり読み易かっただろう。問2はインドを訪問した黒人主導者のキング牧師が米国内に潜むカースト制度についての気づきの論説文、問1は3.5ページの分量があったので、やや難とあったが、問2の方が抽象的な内容で読みにくかった。塾で鍛えた論理読解の速読力が活かされる計6題出た選択問題を塾生なら全完できたのではないか。
和文英訳:
問3は天声人語から昨年亡くなった世界的な音楽家坂本龍一氏についてのエッセイ、下線部3題、朝日新聞で国語の訓練していた人は英訳し易かったのでは?私はN.Y.駐在時代坂本氏の自宅の隣町に住んでいた。
自由英作文:
問4は例年通りの10行英作文。日本人とネイティブとのWチェックで採点が厳しく、配点が高い自由英作文は何回も真っ赤に添削して鍛えてきた。戦略通りライバル達に差をつけてくれただろう。高よび模範解答はネイティブに書かせているのか?自然で良く書けている。が、高校生が再現するにはレベルが高すぎる。対して近所のS学院の解答はお受験英語の域を出ないレベルの作文なので2校の中間程度のレベルに書き直して塾生に配っている。岡山大医学科に合格したら予備校が6年間学費補助するようだが、そこまでして広告塔が欲しいんだ。当塾は現役時に一発で合格を仕留める士気を保つため、誠に恐縮ながら浪人生の方は参加いただいていない。
炭鉱のカナリアのように「岡山には英語外部試験C1クリアした学生は殆どいないが、帰国生が難関中高一貫校にいる首都圏など全国には相当数いてもおかしくない」と警鐘を鳴らしてきた。共テ英語+2次英語計500点がみなし満点され合否に影響が大きい医学科をC1受験した複数の人の証言によれば、受験番号下1桁245番から291番(291人受験)の別の部屋に集められた45名(欠席5名)は午前1時限目の英語を免除され、午後の理科から途中参加したそうだ。
毎年各県の国立大の2次問題&解答を地元紙に載せる高よびさんは、その県出身の国立医学科合格者を広告塔にする。岡山医の推薦合格者(合格1名)はゼロだったので、岡山県の顧客向けの山陽新聞には徳島医(岡山朝日)と香川医(岡山白陵)で推薦合格した岡山出身者2名しかなく寂しい広告(各県の地方新聞にその県の合格者を掲載する)だった。
四国の医学科いのちの私立中高一貫校は地元国立大医学部関係の子弟が多く、難化前の23年度の3回の英検で毎回英検1級合格者を出していた。小学生の子弟を帰国生にするべく米国へ2~3年研究留学→中高一貫校に入れて理数の先取り教育→2年の有効期限がある英検1級を高2で取得という様に子弟の教育をキャリア形成に組み込んでいる。2年連続女子さんを現役合格させてきており、受けて立つ地元勢も四国や山陰の国立医学科で模試A判定近く取っていないと、地元医学科の志望者順位1ケタ判定を捨てて岡医に挑んでくる人たちに対抗できないだろう。今年も同校から1名が英検1級で岡山医を受けたらしい。合格してれば(合格していた)C1みなし満点の強度が大よそ推定できる。新高3の帰国生も英検1級合格させて着々と弾込めしてきている。
英検過去問を教材に使っており、進捗と合ったついでに高1生に難化前ラストの第3回英検準1級を受けてもらったが、無事2名最終合格(高1帰国生さんは中学で取得済だが有効期限切れのため2回目合格、広福理系トップ君は初のCSE2500点越え)してくれた。特に英検対策はしないが、生徒さんが自学自習で頑張ってくれ4年間で累計8名の準1級合格者を出せた。今年度から稼ぎ頭のライティング(W)に要約英作文が追加されW一点突破戦略が封じられる。新形式の過去問も存在せず、国際理数オリンピック候補とか理数の余裕のある人以外は岡山医対策で英検1級を目指すのは難化傾向の数学・理科への時間が削られるのでお勧めできない。岡山医は英検ゲームと騒いでいるが、キーボード入力で英作文が書ける帰国生などはTOEFL-ibtで95点取る方がずっとタイパがいいだろう。
最近医学部掲示板に勝手にリンクされて困っている。ブログの対象は小さな塾を信頼して選んでくれた20数名のご父兄なのに全国のフォロワーが2000人近くに爆増している。掲示版中の岡山大学の記述の質が低いので訂正させてもらうと。英検保持者の出願者は50名とあるが、外部試験C1保持者であり、50名のC1出願者のうち欠席者5名は定員の2倍採ったIB合格者と考えているようだが、インター校などでの2年間のIBディプロマコース修了と共通テストを受験する国内大学受験の2ルートを両立することは不可能なのであり得ない言及だ。ネット情報の中にはフェイクニュースも多いので気をつけて欲しい。
今年の岡大理数セットは数学が近年で最も難化し、物理も計算が煩雑で捨て問を見極めないと問題数の多い化学で時間が足りなくなる他学部共通で標準的な岡大にしては凶悪な物・化だったようだ。2次試験が難しい旧帝大など上位医学科から落としてきた人にとっては差が取れる難易度だっただろう。今年は地方国立大の物理が軒並み難化したようで、もし共通テストで物理選択にハンデを食わされている生物選択者をフェアに扱う様調整してくれたのなら国立大も良識があると思う。尚、高よびさんは2次合格発表後中四国各県(沖縄まで行く)で特待生試験を行う。今年は昨年国公立医学科合格者ゼロだった県北トップの津山中高がある津山にも地方会場を設けるほど浪人生集めに躍起らしい(中四国、九州の17医学科合わせて900人以上の足切り退場者が発生)。
今年の岡山大の数学・理科はトップ校理系上位の生徒でも手応えを感じられないほど難化したようで(医学科・6年制薬学科以外の理・工・農学部受験者の中には白紙の人もいたのでは)、医学科ではC1英語みなし満点者の大量侵略もあり、塾生も必死に他の国立医学科の後期試験に向け机にかじりついている。共テ配点比率が8割超えもある後期医学科入試は共テが取れた人の救済策でしかない(東大理3・医科歯科落ちが集まる千葉医・山梨医、京医・阪医落ちが復活を目指す奈良県医は2次勝負可能)。共テで高得点が取れれば後期足切りも突破でき再挑戦の機会も与えられる。改めて難関国公立大合格の必要条件である共通テストの重要性を痛感する。