これからの予備校・塾の英語講師のあるべき姿とは?
せっかくの大型連休。大学で英語学を学び始めた原点に戻ろうと「現代言語学の父」と呼ばれるノーム・チョムスキーの著書などを読んでいます。筆者が学生のとき「チョムスキー読んでる?」というのが英語学科生の合言葉だったほど熱烈に支持された言語学者です。「生成文法論」という数学を応用した言語学理論を創案し世界トップの理系大学マサチューセッツ工科大学(MIT)で言語学を教えていました。その科学的なアプローチは世界の言語学界に衝撃を与えました。
話変わりまして「あるべき論」のお話。別に特定の予備校・塾の批判ではありません。受験業界という学歴社会のビジネスで不思議だなと思うのは多くの講師が経歴を開示してないこと。河合塾のトップN英語講師が皇族御用達の学習院大卒、東進のCMで活躍のW講師が都留文科大卒など東大コースの学生が知ったら「えっ!?」と思いますよね。難関大学卒でなくても「教えるのがうまい」先生が稀にいることは否定しませんが、「高い山を登ったことがない人が、険しい山登りを教えることができるのか?」と思ってしまいます。また英語は参入障壁が低いのか?法学部など他学部卒の人が教えている場合が多くみられます。司法試験合格を目指すのが精一杯で英語学など勉強されていないはずですが・・
ブログが炎上しそうで怖いですが、敢えて客観的に言わせてもらいます。実用英語に近づく大学入学共通テスト英語を教える講師に求められる資質は次の通り。
①阪大外国語学部(旧大阪外大)以上の英(米)語学科卒
②英検1級、TOEIC満点レベルの民間試験資格を有する者(2024年度以降、共通テスト英語は廃止され民間試験に完全移行する予定なので)
③アメリカ、イギリスなどの英語圏で数年以上の生活経験がある者、できれば英米の大学院で修士以上取得(地方ではほんと少ないのですが)
④過去問のない共通テスト対策の教材、指導法を自ら創り出す英語力、意欲のある者
センター試験40年の歴史の中で多くの研究者、講師の皆さんが書店に置けない数の参考書、問題集を作りました。学生バイトでも先人の知恵をなぞり、「暗号解読」、「構文分析ごっこ」していればある程度のレベルまでは指導できたのです。英語4技能派の安河内先生率いる東進が先陣を切って共通テスト対応模試をスタートし、6月には本気を出した河合塾が全国共通テスト模試を東進模試と同日にぶつけてきます。「簡単な1次マーク模試はベネッセさんにお任せね」と2次記述模試に特化する駿台は知らんぷりしていますが、全国の高校生40万人以上が受験する進研模試の共通テスト対応遅れは「ほんと大丈夫?」かと心配です。
岡山の伝統校、大手塾さんの共通テストに向けての動きもまだほとんどないですね。「2次記述用のプリントやってれば1次マークは解けるから」という幻想はもうやめにしませんか。2次重視の東大・京大合格者は相応の数出しているかもしれませんが、センター重視の地方国立医学科の現役合格率は寂しい限りです。「センター対策不足」で現役生が届かなかったのに目をつけたT予備校は授業料無料の特待生を集め「センター対策特化戦略」で多数の浪人生を合格させています。共通テストに変わってもあれだけの合格者数を出し続けられる実力派講師を揃えているのかはわかりませんが・・・
わざわざスーパーイングリッシュを探してきてくれた生徒さん達は自ら新しい入試に挑戦しようとする意欲があるだけあって講師の繰り出す共通テスト対策の武器をスポンジのように吸収してくれています。多くの高2生が対策なしで臨む6月の河合塾・東進共通テスト模試でどんな全国偏差値をたたき出してくれるのでしょうか。本当に楽しみです!