英語リスニング配点の難易度への影響
河合塾や代ゼミは「センター試験に変わった時も2年目に難化して平均点が下がった。共通テストも来年はより難しくなるだろう」と入試改革2年目のジンクスに注目する。では、どのような対策で臨めばよいのか、東進は「どの科目も問題を読む量が増えているので、解答スピードを上げるのがポイント」と指摘する。
コロナ禍での新入試初年度に平均点が下がり過ぎるといろいろ批判をされるので、センター試験レベルの平均点になるように失点リスクを上げる高配点問題や複数回答問題を試行調査より少なくしていた。それでも上位層が9割超などの高得点を取れていなかった。さらに各大学・学部学科によって異なって設定された英語リーディング:リスニングの配点もかなり影響したと考えられる。
例えば、国公立医学科の河合塾2020年センター最終ボーダー得点率と直近の全統共テ模試を元にした共テボーダー得点率(合格可能性50%)を比べると、リスニングの配点が高い地方医学科が軒並み下がっている。下がった大学を北から順に並べると、
★R:L=1:1の医学科
旭川医:83%→80% (全国最低)
弘前医:84%→82%
山形医:85%→82%
山梨医:89%→87%(後期募集のみ)
京府医:86%→82%
広島医:86%→85%
大分医:83%→81%
琉球医:83%→82%
★R:L=3:2の医学科
福島県立医:84%→82%
★R:L=2:1の医学科
三重医:85%→82%
中四国トップを争う4:1の岡山医と1:1配点の広島医、同じ土俵で比べてないので単純に岡山医の勝ち!とはいかない面もある。後期入試のみで2次試験が数学・理科のみの山梨医は共テ英語600点の内300点も配点されるリスニングの得点が悲惨だと後期復活はありえない。1:1配点でも旧帝の北大医や九大医は上がっているので、思考力重視の共通テスト導入で地頭が抜群の最上位層にはより有利になったと言えるだろう。
民間4技能試験も積極的に活用する1:1の広島医を除く中四国の医学科は9:1と全国で最も高いリーディング比率で前期入試最高倍率だった愛媛医を除き4:1配点。当塾の高3生は全員Rで9割取れるまで鍛えてきたが、1.6倍される傾斜配点では20点以上英語の総合点が上がる。ミスの少ない受験生が勝ち残る相対評価の医学科入試でこのボーナス得点は大きい。
もちろんリスニングも高1・高2からTed-edなど多様なメディアで英語耳を作ってもらいますが、緊張感が半端ない本番で安定して得点できる保証はありません。飛び道具の数学や理科と同じく、当てにならないのがリスニングです。まずはリーディングを固めてできれば4:1配点の大学を受けて欲しい。生徒さんの現役合格にこだわる講師の思いです。