今春の医学科合格者数で女子生徒が大躍進!
ここ数年医学部医学科の合格者数に占める女子の割合の急増は目覚ましい。国公立医学科合格実績ランキングで常に上位を占めていた難関私立男子校に変わり、大学入学共通テスト初年度の21年度入試で上位に躍り出たのは私立難関女子校だった。
今春の国公立医学科の現役合格者数を見ると、東京の桜陰が46名、豊島岡女子学園が37名でトップ5入り、私立は両校と白百合学園がトップ3と、国公立・私立医学科共に女子の難関中高一貫校が上位を占めた。しかも5年前と比べると各校とも合格者数が2~5倍になり激増している。
女子校だけではなく、九州No.1の私立中高一貫共学校である久留米大附設(現役合格61名)でも女子生徒の医学科志向が強いという。男子校から共学化した同校は19年度入試の高3生が女子第1期生だった。同校の教頭は医学科現役合格者数が増えている理由について、男子は浪人も覚悟で地元の九大医学科(26名合格で全国トップ)など旧帝医レベルを目指すのに対し、女子は現役で確実に合格できる地方国立医学科を選ぶ現役志向が強いことを挙げる「女子の卒業生80人のうち国公立医学科の現役合格者は28人と、合格率は35%に上る」同校は21年の国公立医学科現役合格率30%で全国トップ、6位だった16年は14%だったので、この5年で16%も伸びている。この躍進は共学化、現役合格志向が強い女子生徒が要因だったのだ。
医学科合格実績ランキングで女子校が上位を占めるようになった理由について、大学通信は「18年の東京医科大学の女子差別入試発覚以降、より公正な入試が行われるようになったことが主要因」という。また、進学レーダー(日能研)は医学科入試の面接・小論文も女子躍進の理由の一つだと指摘。一般的に女子の方がコミュニケーション能力に優れており、それが有利に働くというのだ。
ちなみに医学科に強い女子校にはある特徴がある。全国トップ女子校の桜陰と豊島岡女子は、中学入試の算数が難しいことで知られている。理数が得意な女子生徒が集まり、文系より理系の女子生徒が多いことも、この2校が医学科に強い要因だろう。
関西屈指の難関女子中高一貫校、四天王寺(現役合格25名)は、医学科専門の「医志コース」を14年から設置、第1期生が挑んだ20年入試では67名と過去最高の国公立医学科合格者を出した。同校によると「本校では医師のお子さんが多く、毎年100名前後が医学科志望だ。例年、大阪大、大阪市立大医学部などを見学する体験型のカリキュラムも用意している」駿台によれば「少子化による18歳人口の減少で医学科志望者全体はあまり増えていないが、成績上位層の女子では増えている」22年入試も女子校が躍進するとみられる。