難関医学科に入り易い国際バカロレア枠
文科省が推進しているIB(国際バカロレア)課程、数年前から東京医科歯科大、筑波大、岡山大、広島大の医学科がIB枠を設けており、競争が厳しい一般枠よりは合格し易い状況となっている。2021年度の各医学科のIB枠の合格状況は下記の通り、
東京医科歯科大:受験者7名→合格者1名(7倍)<定員2名
筑波大:受験者3名→合格者0名<定員3名
岡山大:受験者6名→合格者5名(1.2倍)=定員5名
広島大:受験者1名→合格者1名(1倍)<定員5名
筑波大は合格基準に達しなかったのか?定員3名に対し合格者ゼロという塩対応だったが 岡大医学科は毎年定員5名合格させている。昨年は倍率1.2倍と大判振る舞いだった。 他の国立医学科ではIB受験者が基準に満たない場合その定員を一般枠に回しているが、岡大は毎年定員5名一杯採ってくれるので倍率が低かった昨年度はかなりお得な裏道となった。
IB枠は下記の点で一般枠より有利となるだろう。
①合格基準が低い
IBの全世界共通試験である外部評価テストと日本の共通テスト+個別記述試験を単純に比較はできないが、上位国立医学科レベルの難易度よりはおそらく高くないだろう。
②複数校併願が可能
国立医学科は後期入試が続々廃止となり、ほぼ前期一発勝負であることが難関である要因の一つだ。一方、AO入試の一種であるIB入試では複数の医学科に出願できるのもメリットで、昨年岡大医学科に1名ずつ合格者を出した茨城の茗渓学園、静岡県の加藤学園暁秀のIB合格者は関東の筑波大・東京医科歯科大と併願して岡医に合格してきたと推測できる。
③校内受験が可能
日本の国立大学受験生はアウエーの受験会場に行かなければならないのに比べ、IBでは外部評価テストも全世界共通のルールの元、所属高校の校内で受験できる。慣れた環境で本番に挑める優位性がある。
昨年IB認定校の英数学館高校が岡大と広大の医学科に1名ずつ合格者を出していた。中四国トップ偏差値を誇る同じ福山市の広大福山高校でも去年は1名、今年も2名しか岡山医に現役合格していない中、英数学館の偏差値からすると驚きだったが広大のIB枠は辞退し岡大に入学したようだ。学校型推薦と違いIB枠もAOのように併願可能なので、1名優秀な生徒がいると複数名の延べ合格者を出せる。 岡山県でも朝日塾中教がIB認定校となり、来年度の入試で初のDP卒業生を出す。地元岡大医学科のIB枠は絶対狙ってくるだろう。
限られた国立大のみが文科省のプロモーションに賛同しIB枠を設けているが、今春上記の医学科への合格者がほぼ全員女子だったのは注目だ。IB課程に進学する生徒は女子の方が多いが、大学側が女子比率を上げるために利用しているとしたら、男子差別にならないのだろうか?また難関を勝ち抜いてきた一般枠合格者に対してIB枠合格者が学力で劣ることがないのか?大学側も入学後の成績を検証しているはずだ。万一留年者が続出することになるとIB枠の見直しもあり得るだろう。