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英語スピーキングの入試導入への試み

Aug. 27, 2022 英語テスト

東京外国語大学は22年度入試でブリティシュ・カウンシルと共同開発した英語のスピーキングを問うBCT-Sテストを実施した。タブレット端末とマイク付きヘッドホンを使用し12分の試験時間で話す力を測定、前期日程の受験生約1400人に対し、配点50点で2次試験250点に加えて計300点で総合評価を行った。

その結果などについて、合格した600人強にアンケートした入試担当の同大副学長に聞いてみると、
★アンケートでどんなことがわかりましたか?
スピーキングの試験を半数強の56%が好意的に受けていた
★受験生はどのように準備したのでしょうか?
一番多いのが自分で自習したとの答えで25%、高校のALTの指導が20%、授業で伸ばしたという人が16%。英会話教室などを使ったのは6%と少なかった。
★英語を話す力を伸ばすための授業や支援が充実していたか?
47%が充実していたと答えた。一方、あまり、全く重視してなかったという回答も53%あり、指導が充実している高校と、まだ不十分な高校に二極化している印象がある。
★学習指導要領の範囲内で話す力を問うのは妥当ですか?
妥当であり当然すべきことだ。話す力を問わない入試の方が偏りがある。デジタル技術の進歩で公平性を担保しつつ4技能をバランスよく測れるようになった。
★現時点でのBCT-S導入の成果と言えるべきことは何でしょうか?
新しい試みを多くの受験生に前向きに捉えてもらえたこと。そして大半の受験生が費用のかかる特別な準備をせず、学校の授業や自習でしっかりと合格圏に入ってくれたことを確認できたのが最大の成果だ。
さらに東外大副学長は「英語による発信力をもつ学生が欲しいと考える他大学にも導入を検討してもらえると有難い。より多くの大学が参加し費用分担することでコストが安くなり、参加大学がさらに増える好循環が期待できる」と話す。

東京都は今年11月、都内の中学3年生を対象にベネッセと開発した英語のスピーキングテスト(ESAT-J)を実施する。結果はA(20点)からF(0点)の6段階で評価し、来年2月の都立高入試の点数に加え合否判定に使われるが「採点内容の開示不可」「不受験者の点数は同じ高校で受験した他の生徒の平均点で決める」「同一問題を午前組と午後組に分けて実施する」などの内容が物議をかもしだしている。試験問題漏洩リスクもさることながら、個人の能力を判定するはずの入試において「他人の点数で評価する」という前代未聞の試験システムに懸念の声が上がっている。

一方、入試へのスピーキングテストの導入に対して教育現場でが懸念が残る。一つは「家庭の経済環境による差が生じる」という公平性の点だ。岩手県は04年度に試験官と対話形式のスピーキングテストを試みたが、3年で廃止した。テスト導入対策として英会話教室に通う生徒が増加、家庭の経済状況が結果を左右する懸念が払拭できないと判断した。福井県も18・19年にスピーキングテストを試行したが「他の生徒の回答が聞こえる」などの課題があり導入を見送っている。同県教委は「東京都などの動向を見て英語力を高める成果を得る見込みが立てば再度検討したい」と話している。