東大が文系・理系共に「情報I」を必須科目へ
東京大学が2024年度入学者選抜の一般選抜及び学校推薦型選抜における利用教科の予告を公表した。新学習指導要領に対応した出題教科・科目の変更により文科・理科各類で共通テストの「情報I」が必須科目となる。一般選抜及び学校推薦型選抜における共通テスト利用教科・科目は、文科各類が「6教科9科目」または「7教科9科目」理科各類が「6教科9科目」を課す。文科・理科共に数学の新科目数学IIBCに加え、新たに情報の「情報I」を必須とする。
一般選抜の2次試験の出題教科・科目等は、文科1類・2類・3類が、国語・数学・地理歴史・外国語の4教科、理科1類・2類・3類が国語・数学・地理歴史・外国語の4教科で、理科3類(医学科進学コース)のみ個人面接を実施する。最高学府である東大の動きは全ての国立大学に影響を及ぼす。おそらく共通テストでの「情報I」の導入は国立大ではデファクト・スタンダードとなるだろう。
一方、情報の専門免許を持つ教員数はもとより「情報I」をより発展させた「情報II」の授業をする学校数で地域間格差が問題になっている。東京都では都立高で情報科を教える教員235人全員が情報科の免許を持っているのに対し、秋田県では2003年に「情報」が開始以降初の情報科の教員を今年度採用したばかりだ。現時点で情報IIの開設を予定するのは約500校、東京では情報Iの設置校の5割以上にあたる84校が開設予定なのに対し、石川県の情報IIの開設予定校はゼロ。鳥取、香川など7県は1校のみに留まった。高い割合はとりわけ都市部で際立った。
そのような中で、共通テストの情報Iの配点について北海道大は24年度の入試で、徳島大は導入後2年は「共通テストで課すが、点数化を見送る」と予告した。北大は「新設科目で前例がないため問題傾向や点数が不安定になると予想している。慎重な対応を行いたいので24年度は配点ゼロとする。25年度以降については未定」としている。これに対して情報処理学会は「国立大学協会の基本方針を形骸化する不適切な入試」と抗議し、適切な配点をするよう強く求めている。他の国立大がどのような対応をしてくるのか要注目だ。
現高1生が受験する新学習指導要領下での24年度大学入試は「情報I」や廃止される現代社会の代わりとなる「公共」の新設、歴史総合や数学IIBCでの履修範囲組み替えなど混乱要素が多い(過去の参考書、問題集での勉強は効率が悪くなる)。入試改革の狭間で浪人するのはかなり不利となるので、現高2生には何とか現役で勝ち抜いて欲しいと願うばかりだ。