来年の共通テストは易化するのだろうか?
今年1月の第2回共通テストは、センター試験時代も含めて7科目で過去最低の平均点となった。特に数学では数学IAが38点と前回より20点近く下落。新傾向の出題、問題文の長文化、計算量の増大などが顕著で受験生は時間不足に苦しみ「数学ショック」と呼ばれた。そして、7月、数学IAの難易度を「あまり適切でなかった」とする外部評価の結果が公表され、実施3回目となる来年1月の共通テストでは数学を中心に読解力&高速の情報処理能力を問う「問題の難易度や出題量が緩和される可能性が高い」と予想する予備校もある。
果たして易化するのであろうか?元々共通テストの難度は平均得点率が5割程度になるように設計されている。22年度の共テはその意味では本来の水準に落ち着いたとも言える。大学入試では「前年の反動」がよく見られる。これは志願者数や平均点の増減が繰り返される現象を指す。生物のように前年の平均点が大幅Upした科目は翌年に出題レベルが調整されることがあるのだ。一方、共通一次試験、センター試験と過去2回の入試改革では、いずれの新試験も初年度からの平均点ダウンは3年目まで続いており、23年度の共テも歴史が繰り返される可能性がある。加えて大学入試センターの作問委員の任期は2年、3回目の問題は違うメンバーが作るので、傾向変化が起こり平均点が下がってもおかしくない。
「共通テストはまだ2回目。今後もどんな問題が出題されるかは読みづらい。共通テストの模試をできるだけ多く経験し、どんな問題が出されても慌てないようにメンタルトレーニングしておくことが大切だ」と駿台はアドバイスを送る。また、大学通信は「コロナ禍やウクライナ危機など、個人の力ではどうにもならない不安定要素とも対峙しなければなりません」と受験生の不安な心境を心配する。その上で「学校教師や保護者など大人の支援が必要なのは言うまでもありません」と付け加える。
21年度共通テスト第1日程と22年度本試験の英語で平均点は115点から121点まで上がった。受験生が共テ英語の傾向に慣れてきたのもあるだろうが、最低点を更新した数学、理科と比べると明らかに点を出し過ぎている。難易度は難問の配点を高くしたり、組み合わせ選択肢の導入などで上げることは可能だ。来年は英語も得点率5割を目指して難化するかもしれない。直近2回の東進共通テスト模試は難化を見越してか?英語の平均得点率が40%~44%の難問をぶつけてきた。塾生には少々平均点が下がっても逆に差をつけられるような底力をつけてもらうつもりだ。