国公立医学科と私立医学科の進学率
開成高校と筑波大附属駒場高校、西の灘高校に匹敵する東の最強男子校でライバル意識が強いのか?合格者数に加えて進学者数を現役・既卒に分けて競っている。よほど合格実績に自信がある学校でないとできないことだ。大半の高校は現役・既卒合計の合格者数を実績とするが、岡山朝日・高松高校など浪人しても補習科で面倒を見てくれる学校を除き、どこかの予備校が仕上げてくれた浪人生の実績を誇るのはいかがなものか。現役(高3生)の合格率こそが真の高校の実力ではなかろうか?
2022年度の主な国立医学科と私立医学科の進学者数は下記の通り
★開成高校
東大理3:合格者6名=進学者6名
東京医科歯科:合格者13名=進学者13名
千葉医:合格者14名>進学者13名
京都医:合格者2名=進学者2名
島根医:合格者2名=進学者2名
佐賀医:合格者1名=進学者1名
慶応医:合格者18名>進学者3名
東京慈恵医大:合格者8名>進学者1名
自治医大:合格者1名=進学者1名
防衛医大:合格者16名>進学者0名
★筑波大附属駒場高校
東大理3:合格者6名=進学者6名
東京医科歯科:合格者6名=進学者6名
千葉医:合格者2名>進学者1名
大阪医:合格者1名=進学者1名
秋田医:合格者1名=進学者1名
慶応医:合格者7名>進学者1名
東京慈恵医大:合格者2名>進学者0名
防衛医大:合格者4名>進学者1名
東京医科歯科大と慶応医学部にW合格したらどちらに進学するのか?議論になるが、東京のトップ2校でも全員医科歯科大を選んでいる。上位国立医学科を蹴って慶応医を選んだのは開成・筑駒共に千葉医の1名のみだ。私立2トップの慶医・慈恵医大でも正規合格者の大半が国立大を選んでおり、より下位の私立医大では正規合格して辞退する人の合格者偏差値と補欠合格で実際に進学する人の偏差値にはかなりの乖離が生じる。
これらのデータを見て興味深い点は下記の通り
★国公立医学科はまず辞退しない
さすがに大阪医、東京医科歯科大レベルを蹴る人はいない。開成から島根医・佐賀医、筑駒から秋田医など地方国立医学科に落としてきた人でさえ全員進学していた。筑駒の東大合格者97名の内、理I合格者が1名辞退していたが…海外の有名大学を選んだのだろうか?米国のアイビーリーグやMITなどに受かる人の中には東大に前期のみ通い(東大中退の箔を得て)秋入学で渡米する強者もいる。
★自治医大(総務省管轄)を辞退する人は少ない
国公立医学科と併願する受験者が大半で開成の自治医大東京都枠(競争倍率60倍超)の合格者も進学していた。小笠原諸島など僻地医療に燃えるDr.コトーのような青年なのだろう。国公立医学科の地域枠推薦は専願なのでW合格したら自治医を辞退しなければならないが、国立前期入試の前に受かった場合は学力によほど自信のある人以外はまず蹴らない。10年連続医師国家試験合格率トップ、昨年は100%合格と医学科随一の丁寧な指導で育ててくれる点は学費無料と共に魅力であろう「医学科入試では受かったら行く」のが原則だ。辞退して上を目指しても自治医より確実に医師資格を取れる大学に合格できる保証はない(日本一学費が高いK医大は国試合格率を下げたくなかったのか?今年は卒試留年を54名も出したようだ。年間授業料が約700万円なので4億円近い臨時収入となる)。
★防衛医大(防衛省管轄)には殆ど進学しない
10月下旬に防衛医大の入試が全国の自衛隊駐屯地などで行われた。受験料無料で本番の雰囲気を体験するために受ける国公立医学科受験生が多いが、自衛医官として卒後9年間の任官義務があるので進学する人は少ない。2校で計20名の合格者の内、筑駒の1名のみ進学していた。なお防衛医大を国立医学科合格者に加える学校は合格者数重複の疑いがある。
開成は東大193名>国公立医学科48名と一定数医学科志向の生徒がいるが、筑波大駒場は東大97名>>国公立医学科17名と東大一辺倒の進学校だ。首都圏の中高受験ピラミッドの頂点に君臨する筑駒生が本気で国公立医学科を目指してきたら他校の合格実績に及ぼす影響は計り知れない。今春は西の雄、灘高も京大医学科(20名合格)志向で東大理3(10名合格)を目指す人が少なかった。女子校で初めての理3合格者数全国1位(13名合格)を奪った桜陰女子は幸運だったのかもしれない。これら強豪校の志望動向は全国の難関大学の合格実績に影響をするので要注目だ。