岡山大医学科英検1級で英語500点満点の影響は?
岡山大は現高2生が受験する来年度入試から英語検定試験C1レベルの成績表提出で学部入試の共通テスト、2次英語の両方をみなし満点にすると発表した。英検でいうと1級合格でCSEスコア2600点以上という高いハードルだ。広島大に英検準1級で共通テスト英語のみ満点くれる制度があるが、岡山大で共テ・2次英語とも満点をもらえると圧倒的に有利になる。
この制度は他学部より2次英語(特に自由英作文)の採点が厳しく、合格者でも2次英語400点中300点以上は希で1点を争う医学部医学科では影響が大きい。1600点中500点(31.3%)ある英語で満点もらえれば、少なくとも英検1級保持者は英語だけで120点以上のアドバンテージ(共テ英語も満点を取るのは困難)を得て、英語対策向けの勉強時間を数学や理科などに回すことができるからだ。
私自身アメリカの高校へ1年間の交換留学後、英検1級に合格したが入試英語とは傾向が異なる難解な単語を覚えるのに苦労した。2次の面接(スピーキング)試験も大都市でしか受けられず、四国など地方の受験生には宿泊料や交通費の負担も大きい。3年前大学入学共通テストへの英語検定試験導入断念の主因となった経済的平等性の点では違和感を感じる岡山大の民間検定試験利用方針だ。
24年度以降岡山医を受験する場合は英検1級合格が前提になるのか?については微妙だ。新学習指導要領下で情報Iの追加や各教科の組み替えで負担が増す殆どの高校生にスピーキング対策もきつい1級を目指す余力はないだろうし、共通テスト総合点で3倍の足切り倍率も突破しなければならないのであまりお勧めはしない。また共テ英語を無視する英検1級受験者が増えると鹿児島医や広島医ふるさと枠の共テ英語9割のような満点への基準点が設けられる可能性がある。
但し、全国の高校で英語に力を入れている学校の生徒には有利になるだろう。例えば、鴎州塾系列の広島市のAICJ高校には英検1級が30名近くいるらしい。今春は現役2名が国立医学科に合格したが英検準1級で共テみなし満点もらえる広島医と鹿児島医だった。来年は全国のAICJのような高校から1級持ちの英語強者が岡山大を目指してくることが予想される。
世界を視野に入れる岡山大医学科は国際バカロレア枠は倍率1倍でも定員5名いっぱい合格させる一方、地域枠には780点と高い共テ基準点を課し定員4名しか採らないので県内生には厳しい状況だ。英検1級のみ優遇するという特権待遇はやり過ぎなのではないだろうか?本番前の英語500点確定は模試や共テリサーチの偏差値では見えないステルス攻撃となる。来年度以降、合格判定は良かったのにまさかの不合格が続出した場合、全国から英検1級利用の受験生が流入してきていると考えられる。