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純ジャパの学生が英語が使えないのはなぜか?

Nov. 18, 2023 英語テスト

2021年に30年余り続いたセンター試験に代わった大学入学共通テストの英語リーディング・リスニングは、まさにゲームチャンジャ―となった。共通テスト開始と共に国公私立を問わず、かつて難関と呼ばれる大学の入試問題では「隅から隅まで丁寧に、細かく」内容を和訳・英訳することが求められていた(京大だけは今なお受験英語の伝統を堅持)。ところが共通テストの開始以来、英語試験の位置付けは情報の伝達手段へと変化した。具体的には、英語で与えられた資料の中から「必要な情報をいかに素早く拾い出せるか」という力、つまりは情報処理能力をより重視するものになったのである。

7月末、文科省は「2023年度の全国学力・学習状況調査の結果」を公表した。中3生を対象とした英語では「読む、聞く、書く、話す」の4技能が問われたが、そのうち「話す」については平均回答率は12%、6割以上が0点だった。特に高度な問題ではないが、質問されてからの回答時間が短い。普段から英会話に慣れている人なら問題ないが、学校の英語教育しか受けていない中学生はあたふたしてる間に時間切れだっただろう。

なぜ回答時間が足りなくなるのか?それは日本の学校の英語教育が和文英訳・英文和訳・文法の3つに偏っているからだ。当たり前だが英会話は英語を聞いて英語で返す会話のことである。ところが、受験英語の3つのスキルを重視するあまり、生徒は英語を聞いたらいったん頭で文法構造を理解してから和訳をすることになる。そして返答を日本語で考えてから、それを英訳して相手に返す。たかがコミュニケーションなのに無駄なプロセスが多過ぎるのだ。

また、日本の英語教育はリスニングやスピーキングを軽視している。読み書き中心の英語学習が変わらないのは、頭の固い文科省のせいでもある。文科省は外務省と一緒に、英語のネーティブ話者を教師として招く「JETプログラム」を1987年に創設した。同プログラムは発展を続けコロナ明けの2023年には約5800名の第37期生が来日した。JETの取り組み自体はいい。しかし、彼らは日本の教員免許を持っていないため、文科省はALT(外国語指導助手)という待遇にした。日本の英語教師の多くは英語が使えず、ALTと一緒に授業をすると自分が話せないことが生徒にバレてしまうので、英語教師はALTを冷遇しがちで、英語を話すのが苦手な先生に助手扱いされるALTもやる気を失うという悪循環となっている。人数こそ増えて2万人近くになったが、おまけのような存在でしかなく、まともに機能していないのが残念だ。

英語がまともに使えない教師に教わっても生徒は中々できるようにならないだろう。以前は英語が使えなくても入試のお受験英語はクリアできたが、共通テストをはじめ入試英語が実用的な問題にシフトしており、中高での英語教育の内容と大学合格に必要なスキルのミスマッチが生じている。多くの受験生が国公立大学合格への第1関門である共通テストのリーディング・リスニングの情報量をこなすスピードに苦戦していることがそれを物語っている。

近年、東京を中心に英語検定試験ブームで受験者の低年齢化が凄まじい。思考言語である日本語が未だ固まっていない小学生に英検準1級以上を受けさせるお受験ペアレントには狂気さえ感じる。当塾は速読・リスニング用の教材として英検の過去問は使うが特に対策はしていない。今回2名の塾生(累計7名)が準1級合格したが、志望校の一つである広島大が検定試験で共テ英語みなし満点するので、英検無しの人に差をつけるため特訓して難化前の第2回で逃げ切ってもらった。なお、岡山大のC1レベル英語みなし満点を英検1級で目指すのはお薦めしかねる。入試で出題されない高度な語彙が要されタイパが悪いからだ。講師自身も英検1級、TOEIC満点、TOEFL110点以上などでC1レベルを突破したが無駄な語彙の記憶を強いられる英検1級には絶望を覚えた。しかし、TOEFLなら何時でもC1をクリアする自信はある。帰国生などネイティブ級の英語力がある人なら受験料は高いがTOEFL-ibtやIELTSでC1取得する方がずっと達成可能性が高いと考える。