2024年度の国公立医学科入試予測
高3生となる18歳人口の減少により、自然減だけでも大学入学共通テストの志願者数が約3%減となる中、国公立大学医学部医学科の志願者数は人気が高まり、3年連続の増加となる見込みだ。
大学入学共通テストは、2020年度までの大学入試センター試験のように知識を問う出題とは異なり、思考力を重視した出題方針に変更された。共通テスト実施2年目にあたる2022年度はかつてないほどに難化したが、翌2023年度は数学を中心に平常化した。率にしてわずか4%の上昇だったが、得点率80%の分布を見ると前年比2倍の人数に増加していた。8割超のゾーンには東大・京大や医学科を目指す受験生が多く、これが医学科志願者の増加につながる要因となった。
2020年度(最後のセンター試験)と共通テスト3年目の2023年度で「いずれかの国公立医学科へ合格するための最低得点率」を見ると、それぞれ85%、79%と23年度はセンター時代より6%も低い。このような差が生じる理由は、共通テストの出題方針が変更され問題の分量も大幅に増加したため、高得点を取るのが難しくなったためだ。数学が易化しても23年度は英語リーディングや国語が難化した。全科目で問題が長文化したため読解力と速読力が必要で、今後も医学科入試では合否を分ける課題となるだろう。
理系最難関の国公立医学科入試では、前年度に倍率が高かった大学は、翌年度は志願者が減って倍率が下がり、逆に前年度に低倍率だった場合は、翌年度に人気となる反動がしばしば見られる。但し、コロナ禍が最高潮だった2021年度と22年度は、地元から離れた大学の受験を避けるなど、受験生の移動範囲に制限があったため、これらの隔年現象が抑えられた大学も多かった。
その他、名古屋医(志願者数前年比167%)、岡山医(同50%)、広島医(同68%)は2段階選抜の足切り基準の変更により志願者数の増加(名古屋医は共テ基準点を緩和)や減少(岡山医・広島医は足切り倍率を引き締め)があった。また、廃止が相次ぐ後期日程は50校の国公立医学科中17校しか実施しないため定員が少ない上、超難関の千葉医、山梨医、奈良県立医を除き共通テストの配点が高い。前期より入口は絞られ、23年度は最も後期のボーダーが低かった大学でも84%となり共通テストの高得点者が競う展開だった。
ここ数年の医学科人気は、2018年の東京医大など私立医大の差別問題の後、勇気を持って挑戦するようになった女子の志願者が増えていること、安定した生涯年収が得られる医師を目指して理系上位層がシフトしたことなどが挙げられるが、コロナ禍の3年間は医療を通じて社会に貢献したいと思う学生の増加も影響しており、24年度も間違いなく医学科人気は継続するだろう。
当塾は塾生の現役合格に全力でコミットする受験戦略塾だ。データ分析が得意な講師が早い段階から生徒さんの合格可能性を最適化できる推奨校を模索する。東大・京大・北大などの旧帝大を始め理系最難関の国立医学科でも前期一般、地域枠・一般枠推薦、官立の自治医大と多種多様な入試方式で現役合格に導いてきた。今年も早期から戦略的に準備してきた地方国立医学科推薦の一次選抜を塾生が突破してくれた。残り約1.56倍、是非とも共通テストで決めて欲しいと願っている。