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第4回共通テスト英語本試を解いた感想

Jan. 14, 2024 英語テスト

北陸地方での地震・津波、羽田空港での航空機事故など不安な状況の中、塾生の住む中四国の天候は比較的安定していたのは幸いだった。子供の頃から最強科目だった地理の世界地誌がどこから出題されるのか注目しているが初出題の環太平洋地域だった。受験生にはなじみがない切り口でアジア・アメリカ・オセアニアと広範囲に及ぶため苦戦した人も多かっただろう。日本地誌は浜田市など石見地方で地元島根県の受験生には有利だったろう。どこかの地域を選ばなければならないので仕方がないとは思うが、昨年塾生が合格した北大なども地元生保護のためか?の北海道スペシャルな地理問題を出してくる。

公表スピードの順に東進(とにかく早い)・河合塾・駿台の解答速報をパソコンに張り付いてフォローしていたが、英語リーディングの難易度については各予備校そろってリーディングはやや難化、リスニングは、東進・河合塾 がやや易化、駿台は平年並みと評価が分かれた。リスニングは形式変化もなく、やや易化したようで共テ同日テストを受けた高2生から「満点でした♪」と報告が届いたので、リーディングに絞って講評したい。

リーディングは引っ掛け問題を慎重に機雷掃海しながら約10分余して終えたが、老化の影響か?1問ミスってストレスフリーのリスニング満点と合わせて198点だった。配点は最大3点のリスク分散型を維持したが、後半の大問4から大問6が重たかった。年々ワード数を増やしているが、昨年より時間不足で最後まで読み切れなかった人が多かったのではないだろうか。その要因を解析すると、

大問1~大問3(配点45点)
★全文を読ませる問題の増加
本文の内容を満遍なく読み解かないと正答にたどり着けない問題が増えた。売れ筋となっている共テ英語参考書の「問題文を先読みして情報を抜き取り時間を節約する」スキャニング戦法潰しだと思われる。加えて巧妙な言い換えで難易度を上げていた。
★NOT問題の増加
裏を聞いてくる「NOT問題」が3題も出た。直接的な問いに比べて発想の転換が要され、解答根拠を探す範囲が全文に渡るので時間がとられるしミスも誘発しやすい。
★推測問題の増加
来年からの新課程入試への橋渡し(ブリッジ)的な意図があるのか?本文の内容(明記されてない)から推測させる思考力問題が前半から散見された。長いページの中で確認する箇所が多く、解答根拠も全文に散りばめて分散してあったので時間をとられたに違いない。

大問4~大問6(配点55点)
★出題形式の変化
過去3年の大問4は複数の記事、図表の照らし合わせが要される情報処理問題だったがTOEIC風のトリプルパッセージに変化し、大問5・6と同様に要約ノートの誘導に乗らねばならなかった分、解答に辿りつくまでが複雑化していた。大問5は共テ英語初の実質「小説」でページ数も多く、直接話法を含み3人の登場人物の回想が入り混じるので内容の整理に時間を削り取られたであろう。昨年文科一類に合格した岡山朝日生とやった東大英語第5問の小説調だったので過去問を解いてきた東大受験生には有利だったのでは?大問6Aの時間の認識、大問6Bの唐辛子に関する論説文は昨年のクマムシ問題より理不尽さは減ったが、本文に直接述べられてない内容を推測させる問題で難易度を上げていた。

今年も対策を阻止しようという作問チームの決意が見られた。予想が外れたと言われたくない予備校は前年度の形式をコピーした模試ばかり解かせていたが、直近の本試など最も出る確率が低いのでは?塾生には酷だったが難度の高い塾内模試で負荷をかけて耐性をつけてもらった。今回の様に難化した場合に焦ってパニックになるのを防ぐためだ。毎年パターンを潰して初見問題をぶつけてくる共テ英語に要されるのは普遍的な速読力、要約・言い換え力、情報処理能力だろう。

現高2生が受験する2025年度からは新教科「情報I」を加え、地歴・公民で新教科の「公共」や地歴の総合科目など出題科目を再編して7教科21科目に移行するため、6教科30科目の現行方式は今回で最後となる。駿台は第1日目の出題で「地歴・公民の出題傾向は従来と変わらず、国語は目新しい形式の問題が出され、英語は模試より分量の増えた大問もあったので戸惑った受験生もいたかもしれない」と分析していた。

広島大を除く中四国の国立大学はリーディング:リスニング=4:1配点だが、今年は1:1配点でリスニングを重視する大学を志望する生徒が複数人いるので年末年初返上で塾内模試を実施して実戦感覚を研ぎ澄ましてもらった。共通テスト初日最後のリスニングは終了が18時過ぎとなり根性比べだ。また英語の前に受ける国語200点は鬼門だ。大問毎の配点が大きい国語でやらかすと次の英語まで道連れにされるリスクがあり毎年ハラハラさせられる。今年も塾生が最後まで気を抜かずに走り切ってくれることを願っている。