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中四国の国立医学科の共テ合格ボーダー速報

Jan. 18, 2024 大学合格戦略

いよいよ統計オタクの講師の腕の見せ所である個別での高3生向け出願カウンセリングが始まる。駿台データネット・河合塾バンザイシステムの40万人近いデータベースで合格可能性が1%でも高く、生徒さんの強みを最大限活かせる大学を客観的に絞り込むお手伝いをする。特に大学間で配点が異なる医学部医学科では傾斜配点次第で5%近く違ってくる場合がある。

毎年恒例のTV中継でタカヨビマンの予備校が中四国6県の現浪生約3万人を母集団とする6つの国立医学科のボーダーを公表した(合格者が少ない山陰の鳥取医・島根医、ほぼ九州の山口医はギブアップ)。昨年度の50%合格可能性共テボーダー得点と比較してみると
岡山医:755点↑(745点)
広島医:750点↑(740点)
徳島医:745点↑(735点)
香川医:730点↑(725点)
愛媛医:725点↑(720点)
高知医:715点↑(700点)

上位医学科の岡山医・広島医・徳島医では10点(約1%)昨年より上がっていたが、下位の香川医・愛媛医では5点しか上がっていなかった。約10点国語が上昇したのにも係わらず下位医学科で5点しか上がっていないのは昨年の反動で合計7点以上下がった数学がすごくできた人とそうでもなかった人との差であろう。英語のリーディング(R):リスニング(L)比率や外部試験でのみなし満点制度の有無で九州では旧六医大の熊本医のボーダーを鹿児島医や佐賀医が上回る変動がみられたが、中四国で唯一1:1配点でリスニング難化の影響が軽微だった広島医のボーダーはもう少し上がっていてもいいはずだ。広島医の河合塾A判定は89%と岡山医の87%を上回る。去年の高よびは甘めのボーダーだったが、四国最低の高知医が715点に対し旧六医大の熊本医が708点などあり得ないので、どちらか一方がズレているのだろう。今年は新課程入試前の安全志向で、旧帝医合格レベルが例年より降りてくる展開なので安易に共テボーダーだけを信じて、2次で逆転できそうな岡山医(2次比率69%)、広島医(67%)などに出すとリスクが高そうだ。配点と問題との相性を見て自分の2次記述力で十分戦える医学科に出願することが肝要だ。

高齢の理事長を継いだ息子さんが「来年からの新課程のことは意識し過ぎずに安易にランクを下げないで欲しい」と浪人生が増えると商売に繋がるセールストークを連発していた。同校も高額のテレビ枠を買い取って宣伝しているのだから仕方がない。近年国公立医学科合格者の浪人生割合が減っている。浪人生は理科など全範囲一周しているのが有利な点だったが、高2までに先取りする中高一貫校の伸長および「国公立なら全国どこでも受かる大学に現役合格して1年でも早く医師になる」という手堅い考えの現役生が増えているからだ。久留米大附設、青雲、ラ・サール、愛光など医学科に強い中高一貫は高3の時点で生徒の持つポテンシャルを最大限に仕上げる。センター試験のような対策が効かない共通テストに代わったのも浪人しても有利ではなくなっている要因だろう。

第4回共通テストでは理系の選択者が多い地理B、国語の上昇分を去年のボーナス易化分が剥げ落ちた数学2科目、英語Rの難化が相殺してそれ程平均点は上がらなかった。生物の正常化はあったものの、英語もリスニング(L)を楽にするけどリーディング(R)は手強いよ!というセットだった。中四国の国立大は1:1配点の広島大を除き、4:1配点でRの失点差が1.6倍され、1点を争う医学科入試では英語の出来が影響するだろう。模試ではRで9割後半取れていた塾生も苦戦したが、R9割で浪人も含めた偏差値が69も出ていたので受験生全体が苦しんだはずだ。以前はLが聞けない人で広島大志望が岡山大に流れてくるリスニング難民が見られたが、今年はリーディングショックで広島大に逆流するR難民が増えることが予想される。

昨年、前年比8点も平均点を下げた英語リーディング(R)は史上最強の難問をぶつけられ3年連続の下落となり、共通テストが目標とする平均5割により近づいた。塾生には「万一Rが難化しても切り替えてリスニング(L)で踏ん張るように!」説いてきたが、みんなLで耐えてくれたので崩壊は免れた感じだ。英語チームはパターン対策潰しを来年も続けてくるだろうから更に難度を上げた演習をしてもらうので皆さん覚悟しておいて下さい。

中四国では広島大以外はR:L=4:1配点なので、リーディング1点の失点は1.6倍の差となる。今年から参入してくる岡山医の英語外部試験C1受験生は共テも2次も英語みなし満点なので共テだけでも50点近く(Lが満点でもない限り)、2次英語でも100点近く差をつけられ有利となろう(しかも採点の厳しい2次英語400点満点は共テリサーチ判定に反映されないステルス攻撃となる)。広島医でもB2持ちの人は共テみなし満点で40点以上差をつけられる。医学科入試は理系最上位間での相対評価の椅子取りゲームで、わずかな差が合否を分けるので英語の出来は重要だ。

今回は共通テスト英語が難化した際の外部試験の破壊力を見せつけられた。岡山医のC1レベル受験者は全国的にみても少数かもしれないが、広島医受験者のB2持ちとB2無しでもスタートから大きな差ができる。広島市で地元医学科を志望する人は高2で英検準1級取得(外部試験の有効期間は2年~3年間)は当たり前なので、Rやらかし組がB2無しで1:1配点を頼って広大へ出願するのは要注意だ。授業進度とたまたま合ったので高1生には難化前最後の英検準1級を来週受けてもらうが、ライティング(来年から要約作文追加)一点突破で合格点を稼ぐ戦略が封じられ、英検準1級合格にも以前よりずっと時間を取られるようになるので数学・科学オリンピック候補とか理数科目によほど余裕がある人にしかタイパが悪くお勧めできない(特に英検対策はしてないが、高1生2名が合格し準1級合格者は4年間で累計8名)。

共通テストの問題を掲載した各新聞は予備校や共テを失敗してしまった国公立大志願者を拾いたいFラン私立大の広告が満載だったが、目を引いたのがチェコ・ハンガリー医学部の広告だ。医師になるために東欧まで留学して受かるかどうかわからない国試で苦労するよりも、面接点がもらえる現役時に地元国立医学科の地域枠推薦を取るとか、去年順天堂医に抜かれるまで国試合格率10年連続トップを続けた自治医大を併願するとか工夫はできたはずなのに…経済負担が少ない官立医学科合格へは戦略が大切だと痛感する。

尚、共テが振るわなかった国立医学科志望者の併願校として人気が高い自治医大の願書締め切りは共テ終了3日後の水曜17時必着だ。苦手な共テ国語での不振を切り替えて、得意な理系3科目で戦える理系男子くんらには自治医大は貴重なチャンスで、お母様に願書を締切日の17時までに県庁窓口に届けてもらえるよう猛ダッシュしてもらったこともある(受験倍率20倍超えだった岡山県枠で無事に現役合格)。1次マークで足切りがある医学科出願の心理戦はギリギリまで駆け引きが続き、締切当日に北海道や沖縄まで飛行機で願書を持ち込まれる親御さんもいると聞く。入試は本人同士の学力で勝負する個人戦だが受験はご家族単位では団体戦となる。