国立大学医学科推薦入試合格速報
中四国の国立医学科も2月9日の愛媛大・鳥取大、2月10日の岡山大を皮切りに、推薦入試の合格発表ラッシュだ。旧課程最後の入試で逃げ切りたい受験生の気持ちが表れているのか、国公立医学部医学科の学校型推薦・総合型選抜は多くの大学で高倍率となった。
高よび(T)さんと岡山校もあり川崎医大総合型選抜が得意な医専予備校であるF学院(F)の2つの直営予備校(Mラボさんは各地域のFC経営なので除く)が新年度の予備校生獲得の広告宣伝で合格者速報を競っていた。国立医学科6年間の授業料以上の料金設定らしいが広島校で国立医学科志望の現役生を集める医専予備校が伸ばしているようだ。中四国の9医学科の合格者を切り取って挙げると、
T香川医12名(昨年度4名)
T愛媛医11名(同14名)
T高知医10名(同7名)
T徳島医6名(同4名)
T島根医3名(同1名)
T鳥取医2名(同0名)
T岡山医0名(同3名)
T広島医0名(同1名)
T山口医0名(同0名)
T中四国9医学科合計44名(同34名)
F香川医3名(地域枠+一般枠30名中)
F広島医2名(地域枠+総合型23名中)
F愛媛医1名(地域枠+一般枠55名中)
F鳥取医1名(地域枠+一般枠26名中)
F島根医1名(地域枠+一般枠44名中)
F山口医1名(地域枠+一般枠44名中)
F中四国9医学科合計9名
岡山医の地域枠推薦は岡山・広島・兵庫・鳥取県で計9名定員だが今年は3名しか合格させなかった。岡山医は推薦で国立医学科最高の共テ基準点(780点)を要求し、昨年高よびは共テ9割超えの2名を含む3名を地域枠で合格させたが今年は合格者ゼロ、1浪まで対象の愛媛医地域枠推薦Bは20名中11名取ったが昨年比3名減。愛媛医推薦Bの定員の内15名は期限切れした緊急医師確保枠の臨時増員分で毎年文科省の延長認可が要され、打ち切られると一般枠の競争が更に激化しそうだ(2029年以降人口減少に伴い現状の定員だと医師過剰になる見通し)。合格者が出なかった岡山医・広島医と愛媛医推薦で計7名減らしたが、地元香川医推薦は8名の大幅増で死守、高知医で3名、鳥取医・島根医・徳島医で各2名増やし中四国では前年比10名増の44名と推薦入試では健闘していた。
医専予備校のF学院は国立医学科推薦合格者も私立医大のノリで正規合格と掲載していていた(私立大は多数補欠を出すが国立大に補欠合格はない)。本人の学力のみで1校しか合格できない国立大と親の財力がないと受験(受験料6万円、入学金100万円以上)すら叶わず、複数校受験の課金ゲームで合格率を上げられる私立医大受験は費用から異なる戦いになるので単に医学部受験と一括りに宣伝しないで欲しいと思う。年間300万円以上払えるご家庭が主なお客さんであり、国立医学科に受かった面接・推薦の単発講座の合格者を広告塔に使うビジネスモデルだ。高3時わずか数回の受講だけの合格者まで含めているのに対し、高よびさんは1年間面倒を見た予備校生のみの合格者数なのでよりフェアだと考える。
近年高よびさんは山陰の鳥取医・島根医、四国の徳島医で推薦・一般共に合格者数の減少が目立つが、対策封じが顕著で地頭勝負の共通テストで苦戦しているようだ。後がない浪人生に大手予備校は国立医学科の推薦、官立の自治医・産業医・防衛医大を積極的に併願させる。地域枠推薦や自治医大(岡山県で20倍)を下に見る人がいるが、わずかの差で浪人した人達が1年間必死に勉強して推薦入試にも簡単に合格できていないのが国公立医学科入試の厳しい現実だ。共テを課さず記述試験・面接のみで年内入試を行う東北医AOII期・高知医の総合型、筑波大の学校推薦型の3大学を除いて、国公立医学科の推薦入試はほぼ共通テストの得点で決まる。
タコ部屋・共同浴場の合宿生活で或る意味平等だった高よびさんも富裕層ビジネスに目覚めたのか?絶対に医師になりたい人のために個別医進プレップを開校!と四国の駅で全面広告していた。北よびFelixと似ているが、北よびのように授業料免除の特待生は肉じゃが、数百万円かかるFelixはフレンチディナーと寮の献立で経済格差を誇張するのは控えて欲しいと願う。高額の料金を払ってくれるハイエンド顧客を勧誘したいとはいえ教育機関としての品格はどうなのか。F学院もシェフのいる専用食堂をアピールするが食費も上乗せして利益追求する貪欲さが垣間見える。
これから自治医大の正規合格者(前年比2名増の9名)の中で国立医学科推薦とのW合格者が辞退するので、自治医大繰り上げ合格者と防衛医大の補欠合格者(国立一般入試で合格すれば辞退だが正規合格が6名減の3名のみ)を操作する合格者数の水増し工作が始まるだろう。数百名の医学科志望を擁する高よびさんの受験者数に対する実進学率が気になる。センター試験時代は九州・沖縄8つの国立医学科合格者が300名に迫っていた北よびさんも共テ導入後合格者が減少傾向だ。共通テストでは読解力や初見問題を解ける思考力が問われ、例題をパターン学習しても中々点数が上がらないのが特徴だ。伝統校のように「現役時は憧れ校に挑戦、補習科で浪人して現実校へ」の2年超し作戦が効かなくなっている。熾烈な中学受験を勝ち抜き、難関中高一貫校の先取り学習で高3時に完成する地頭の良い現役生の強さが際立つ。東大、上位医学科合格者の共テ平均点はセンター試験とほぼ変わらないが中堅以下の国立医学科で5%以上下がっていることがそれを示している。
高2生が受験する来年の入試では学習指導要領改訂に伴う入試改革第2弾も控え、今年の国立医学科入試は推薦も含めて競争が更に激化している。旧課程入試で逃げ切るため旧帝大レベルを目指していた最上位層でも直前で地方国立医学科に降りてきた人が多かっただろう。旧課程入試最後の今年は例年以上に周到な出願校選びが要された。幸い戦略が上手く行き1名を国立医学科(愛媛医)に推薦で一抜け合格させることに成功した。いよいよ国立大前期を受ける生徒さん達の最終決戦だ。当塾は生徒の英語力のポテンシャルを高3時点で最大化させて国公立大学へ現役合格させることを唯一無二の目標としている。