公立中高一貫校の真価が問われる時
全国的に公立の中高一貫校が注目されている。中学と高校間の教育の分断、カリキュラムの重複を防ぐため、文部科学省が主導し1999年に制度化された。東京の都立高がいち早く成果を上げたが、各都道府県でも続々と増えている。
公立の中高一貫校には3種類があり、岡山県での設置は次の通り。
①高校に付属中が伴う「併設型」:
岡山操山中高、倉敷天城中高(理数科併設)、津山中高(理数科併設)
②完全中高一貫型の中等教育学校:
大安寺中等教育学校
③市町村立中学と都道府県立高校が教師や生徒の交流を図る「連携型」
併設型は高校でも生徒の募集をするため、中学の門戸は限られている、中学の選抜試験は「適性検査」と呼び、これをパスして入学する生徒が高校の3分の1から半数を占める。中等教育学校は6年間を便宜的に、一般の中学に当たる前期課程、高校に当たる後期課程に2分割し、基本的には生徒は同じ進度で学習するので6カ年の学習効果はおおむね高い。
注目したいのは、時代を先取りしたとも言える適性検査だ。学校教育法は義務教育である公立中の入学者選抜で学力検査を行うことを禁じている。そのため、あくまで志願者の「適性を見る」のが目的とされる。また適性検査は私立中学の入試のように4~3教科別ではなく、教科を超えた総合的な問題を解く。身近な環境や社会問題について考察を巡らせ、計算し、実験を机上で想定するなど、知識量よりも知識の活かし方が問われる。
首都圏模試センターは「大学入学共通テストのサンプル問題が大学入試センターから公表された時、問題形式が「適性検査の出題とそっくりだ!」と話題になりました」と語る。適性検査は問題をよく読めば、答えはその中に用意されている。つまり知識は問題文を通じて与えられ、それらを柔軟に用い自ら考え、答えを記述しなければ解けない問題となっている。
では公立一貫校の成功例として全国に名をはせた操山中高や大安寺中等教育高の現役生が、第1回大学入学共通テストで飛び抜けた成果を出せたのか?それについては2つのハードルが存在すると考える。
①県教育委員会が中高一貫校にトップ教師を集中配置できるのか?
当塾でも主力の岡大附属中から朝日高という黄金ルートは健在で朝日高は昨年東大合格者21名と中四国No.1の座を愛光から奪還した。岡山学区トップの朝日や倉敷学区トップの青陵を差し置いて、中高一貫高にトップ教師を集めるのは限界がある。
②公立高における「先取り」教育の限界
先取り学習する私立中高一貫校並みの先取り教育を進めるのは人材面・システム面で無理がある。中高完全一貫の大安寺は英語・数学は先取りしているようだが、高校入学組がいる併設型の操山、倉敷天城、津山では公平性の観点から困難であろう。
初の共通テストで公立一貫校の真価が問われますが、まずは今春の合格実績に注目です。共通テストに強いことが証明された場合、公立中高一貫校人気はさらに上がると予想されます。初めて大安寺中教から高1君にご参加いたけることになりました♪難関の「思考力型適性検査」をパスしてきた生徒さんに指導できるのを楽しみにしております!