国公立大学入試変更点(最新版)
一般選抜の日程変更で、岡山大が2023年から全学で後期入試を廃止する。22年まで後期募集を行った文・法・経済・理・医(保健)・歯・薬・工・農学部で募集停止となる。岡山大の後期募集は関西及び中・四国地区の難関から準難関大学の貴重な併願先だっただけに影響は大きく、23年度国公立大入試で最大の変動要因の一つとなると言っても過言ではない。広島大・徳島大の後期、大阪公立大など近隣の大学の中期・後期の志願者増に結び付きそうだ。
理系最難関の国公立医学科では、後期しか募集しない山梨大医学科、後期募集定員が50名以上と多い奈良県立医大と並び、2次試験重視で復活可能だった岐阜医後期が定員25名から今年10名に減員したのち来年から廃止となる。広島医・鳥取医を皮切りに香川医・愛媛医と次々と後期が廃止され、中四国で唯一、後期で募集するのは山口医全国枠の7名のみ(今春は45倍の志願倍率)となり国公立医学科は一段と前期一発勝負の戦いとなっている(九州の地方医学科などで後期募集は残るが定員が少ない上、共テ配点が高く、前期2次試験で失敗した人の救済策でしかない)。
募集定員の変更では、岡山医前期3名、鹿児島医後期2名の一般枠の減員に加え愛媛医が地域枠推薦20名を5名まで減員する予定だ。愛媛県の高校卒業者対象の推薦Bには今年高よびが愛光の浪人生を中心に14名合格させていた。10年以上前から過疎地域の医師不足対策として実施されてきた臨時定員増は延長されてきたが、文科省がコロナ禍での増員延長をいつまで続けるか予断を許さない状況だ。薬学部増員についても将来の薬剤師余剰を見越して、早ければ23年度から薬学部新設及び定員増を原則認可しない定員抑制策を打ち出してきている。
選抜方法の変更では広島医が2次理科1200点の理科重視型A配点に加えて、英数1600点の英数重視型A配点を追加する。A配点の上位から募集定員の1/2の合格者を決定し、次に英数理均等型のB配点を用いて残りの合格者を決定する。今年度から2次・英数重視型となった岡山医と類似する選抜方法となり中四国の医学科を志望する上位層は広島医か岡山医の2択となる。但し、英語のリーディング:リスニング配点は広大がリスニング重視の1:1、岡大がリーディング重視の4:1なのでリスニングが不得手な受験生は岡山医に流れるだろう。2段階選抜も7倍から5倍に下げるので今年の岡山医のように広島医でも足切り発動リスクが高まる。
なお今春150人以上を門前払いした岡山医は足切り倍率を4倍から3倍にさらに厳格化する模様。また地域枠に関しては、広島医のふるさと枠(定員18人)は1高校から5名まで推薦可など、各大学毎に推薦人数限度が異なるが、長崎医が1高校あたり6名から12名へ倍増させた。長崎医には久留米大附設、ラ・サールに次ぐ九州私立中高一貫御三家である地元の青雲中高(今春国医50名合格)が毎年20名前後を送り込んでいるが、さらに合格者数を増やしてくるだろう。
地域枠推薦合格者には地域医療を目指す人、地元の開業医を継がなければならない人など一般入試でも受かる学力を持つ上位層が一定数おり、定員削減により推薦組が一般枠に流入すると競争が一段と激化することは必至だ。定員減の流れが続く中、志願者間の差が小さい国公立医学科入試では紙一重で合否が分かれるので、大学名にはあまりこだわり過ぎず、1年でも早く合格を勝ち取ることを優先すべきではないだろうか。