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統計学が教えられない数学教師!?

Jul. 08, 2023 その他

2022年度(現高2生から)高校の学習指導要領が改訂され、数学では相対的に統計分野の割合が高まった。統計については、その前の改訂で「データの分析」が数学Iに入り、大学入試センター試験などで図や表を見て答える問題が出題されてきた。一方、数学Bの統計は多くの大学の2次試験で出題範囲から外されており、勉強しなくても何とかなっていた。

ところが、新課程では東大などが2次試験の数学でも数Bの「統計的な推測」を出題範囲に含め、さらに文系の受験生でも共通テストで他の選択問題との兼ね合い(現数IIIの複素数平面を避けようとすれば統計を解かねばならない)から、統計的な推測を選択せざるを得ないケースが多くなる。現行課程の「確率分布と統計的な推測」との違いは仮説検定が加わったことだ。これらは米国の経営大学院でも必須科目でビジネスで使われているような実用的数学分野の必要性が高まった形だ。

この変化に十分対応できていない数学の指導者が多いようで、ある高校の先生は「統計は塾で勉強して」と言い、ある塾の先生は「統計は学校に任せればよい」と発言したらしい。ある高2の生徒は「先日、数学の授業で統計を扱ったのですが、学校の先生の説明が全然分からず困っています。先生は教科書を読み上げるだけで、きちんと理解していないようでした。質問にも答えられないし…」という内容で生徒は不安そうな顔をしていた。

彼のように統計に不安を覚える生徒は増えるかもしれない。学問の性格として純粋な数学は演繹的、統計学は帰納的で基本的なコンセプトが異なる。高校などの数学に応用数学分野の統計を含めることに賛否はあろうが、学習指導要領改訂で統計の比重が高まることは分かっていたはずで、数学教師が統計を学ぼうとしない、教えられないのは問題だ。

一方で、教師だけを責めるのは酷かもしれない。文部科学省はカリキュラム改訂の前に学校現場が実際に対応できるか十分検討したのだろうか?数学教師に対する研修・支援は十分だったのだろうか?ある地元の国立大医学科生のみをバイトで雇い個別指導を行う医学部専門塾は社会人の専任講師は採用しないらしい「社会人講師の大半が国立医学科レベルの大学に受かっていない(地方国立大理学部レベルの講師では医学科志望の生徒を教えるのには限界が出てくる)」というのが理由のようだ。確かに数学科や化学科は阪大理学部でも偏差値の低迷が続き理学部離れが顕著だ。英語に関しては理系の医学科生が凄くできるとは限らないので例外かもしれない。