私立大入試も超安全志向に
毎日新聞と大学通信は全国の進学校約2000校にアンケートを行い、過去最高の910校から回答を得た。21年度入試の傾向については、
☆安全志向がさらに強まる=77%
☆推薦型選抜が人気になる=67%
☆地元志向が強まる=56%
☆現役志向が強まる=54%
「安全志向」「地元志向」「現役志向」が来年の入試の特徴となる。
代ゼミ教育総合研究所は「新しく共通テストが始まり、問題の難易度が上がり平均点が下がると予測されます。そのため今年の入試でも無理をして難関大を狙わない安全志向がさらに高まる」とみる。コロナ禍があり、来年の2次試験の頃に感染拡大があるかもしれない。不安から早く進学を決めたいと考えて、推薦型入試が人気になる。東京や大阪は感染者が増えているので進学するのは怖い。都会の難関大に進学してもオンライン授業で友達もできない。それなら地元の大学の方が友達も近くにいて安心だという考える受験生も多いだろう。
多くの私立大で進んでいるのは、従来から利用していたセンター試験を共通テストに置き換えて選抜する方式だ。今春は入試倍率の高さから、センター試験利用方式の私大志願者が減少した。そこに過去問がなく、難易度が高まるという共通テストが始まる。そのため、共通テスト方式の出願には二の足を踏む受験生が、さらに多くなると予想されている。
その中で、新たに共通テスト活用を導入する難関大も出てきた。上智大だ。代ゼミ教育総合研究所は「上智大は共通テストのみで合否判定する方式に加え、従来の3教科型を共通テストと、大学独自の記述問題を課す方式に変更します。この方式はこれまでの私大入試とは異なる国立大型の方式といえます」と指摘する。
他にも様々な利用方式がある。青山学院大は一般選抜のうち、経済学部を除く各学部が別々の日程で試験をする個別日程で共通テストと独自試験を組み合わせた方式を採用する。早稲田大も最難関の政治経済学部で共通テストの数IAを必須とする。
一方、21年度入試で従来の一般選抜方式を大きく変えない難関大は、首都圏では慶応大、中央大、法政大、明治大など、近畿圏の関関同立も入試を大きく変えない。これらの従来型入試を実施する私大には志願者の流入が見込まれる。ただ、志願者増とまではいかないようだ。
コロナ禍と入試改革の影響で超安全志向となり、21年度入試は難関私立も含め、一般選抜と共通テスト利用方式共に志願者減が見込まれる。倍率面で狙い目の学部が多くなると予想され、コロナ禍の厳しい状況下で頑張った分の努力が報われやすい入試になるともいえるかもしれない。