2021年度入試の最新動向(国公立大医療系編)
コロナ禍における医療現場の過酷さから、志望者減が予想された医療系学部。だが、大手模試のデータから見ると志望者増の学部系統もあり、総じて前年並みから増加傾向にあるようだ。系統別の志望状況について大手新聞が特集していたのでまとめてみました。
駿台教育研究所は「医学部をはじめとする医療系学部は、コロナ禍で奮闘する医師や看護師の姿を見てか、社会に貢献したいという使命感に燃える受験生も多く、景気後退が言われる中、就職先が少ない地方を中心に志望状況は堅調です。実際に就職するのは4年もしくは6年後で、その頃にはコロナ禍が収束しているという希望的観測もあると思います」と語る。
医療系の志望者が増加している要因について、ベネッセ進学情報センターによると「国公立大医学部の志望者が増えているのは、前年までの超安全志向から志願者が減り続けてきた反動も大きいと思います。今年度入試では既卒生が減っており、低学年から新入試に向けた学習をしてきた現役生に有利な入試になりそうです」とのこと。
前年の4大模試全体の受験者を100とした指数では、国公立大が94と志願者全体が浪人生を中心に減っている。だが、医師を養成する医学科だけをみると100なので、国公立医学科の志願者は大きく増えている計算になる。地域別では、東海が109、近畿が110と、医学部志向が強い地域で志願者が大幅増「将来の職業に直結する医学部を目指す受験生は中学時代から目標を定めているケースが多く、志望がぶれないのでしょう」(駿台教育研究所)
歯科医師を養成する歯学部は、国公立大が94とほぼ前年並みの志望状況だが、医学部の倍率が高くなると歯学部に志望変更する受験生が増える可能性も出てくる。
薬学部は国公立大が101でこれも増加している。国公立大の増え幅が大きいのは、和歌山県立医科大が薬学部を新設する影響もある。東進ハイスクール「コロナ禍にあって、医師以外のアプローチから医療に貢献したいと考える受験生も増えています。ワクチンや治療薬の開発が求められる中、薬学の重要性が改めて認識されました。患者と接触しなくても、多くの人の命が救える薬学部は難関大でも志望者が増えています」と分析する。
不況下の資格取得人気と相まって国公立大の医療系志望者は増えています。社会全体では、コロナ禍にあっても医療系を目指す高校生の増加傾向は心強い限りです。しかし、受験生にとっては共通テスト導入による入試の難化や志望者の増加による競争激化は、必ずしも歓迎材料ではありません。当塾も国公立医学科をはじめとする医療系志望の生徒さんが多いですが、配点の高い英語で何とか難関を突破してもらいたいと願っています!