今や国立薬学科は医学科並みの難易度!?
大手予備校のデータによると、21年の国公立医学科の志願者は前年度を100とした指数で99と横ばいだったが、前期入試のみの集計では7年ぶりの増加で、志願者減に歯止めがかかった。コロナ禍による経済状況の悪化で地方を中心に、就職への不安感から資格の取れる医療系学部の志望者が増えていることが要因だ。
特に国立薬学部の志望者指数は110と前年から大幅Upした。新型コロナウイルス開発のニュースが注目を集め、創薬人気に拍車がかかった。名古屋大を除く旧帝6大学、旧六医学部薬学科の流れをくむ千葉、金沢、岡山、熊本、長崎大と、医歯薬3学部を揃える広島、徳島大にしか国立薬学部は設置されておらず、定員も薬学科は40名足らずと医学科の半分に満たないのも高倍率の理由だ。
さらに研究者養成重視の東大、京大、東北大など旧帝薬学部は薬剤師資格の取れる6年制の定員がさらに少なく全体の1割~3割しかない。そのため、岡大をはじめとする地方国立大では6年制の薬学科と4年制の創薬学科(薬科学科)との難易度の差が共通テストの得点で40点から100点も開き、6年制薬学科の入学難易度が地方国立医学科並みに上がってきている(国公立大学医学科の定員約5700人に対し、国立6年制薬学科は500人程度と圧倒的に少ない)。
今春国立薬学部薬学科を志望していた生徒が共通テスト自己採点を河合塾、駿台のリサーチシステムに入れたところ、岡山大薬学科志望者の得点分布は定員28名の平均が765点(85%)以上、最高点は9割超の818点と高く!四国の高知大(合格者平均734点)や愛媛大(同733点)の医学科なら余裕で合格できそうな人が集まっていたのには驚いた。彼女(彼)らは高得点でも医学科には興味なし「薬学科いのち!」の受験生であり、地方医学科志望者がすべり止めにできるレベルではなくなっている。一方、コンビニより多いと言われる歯科医過剰で歯学科人気は凋落が止まらない。どの国立大でも薬学科が医学科に次ぐNo.2、もはや医歯薬ではなく医薬歯と呼ぶべきだろう。
1人で何校も重複合格できる私立医大合格者数も混ぜて「医学部医学科」合格者数を盛る医専予備校や「国立医学部」合格者数に医学科以外の保健学科を含める高校などと同様「国立薬学部」のみで合格者数をアピールする合格実績には要注意。前述のように6年制薬学科と4年制創薬学科の間には医学科~歯学科間並みの難易度の差があるからだ。利益を追求する塾業界はあらゆる手を使って実績を誇大広告してくる。指導の質を下げたくない当塾は、巷の利益至上主義の大手塾とは一線を画して少人数制を貫いていきたい。