第1志望ばかりではない岡大医学科合格者
当落選上にいる人はオンザバブル(on the bubble)と呼ばれる。余力を持って合格してくるトップ層とは違い、浪人して復活できても大学でまたオンザバブル層となる場合が多い。今春全国50ある国公立医学科で現役占有率トップだったのは意外にも最難関の東大理3(84%)だった。残念ながら現役の突き抜けた層とギリギリ受かる層とは異なるのが現実だ。
今春岡山大医学科へ地域枠を除く一般入試で現役合格できた県内高校卒業者は10名前後だった模様。7000名余りの共通テスト現役受験者中0.15%以下の合格確率となる。全国の進学校から攻め込まれ県内生が振り落とされているのが一因だと思われるが、合格者出身高校を見ると必ずしも岡医を第1志望としてなかった約1/3の上位層がランクを落として合格してきていると推測される。
第1志望で岡医に合格したであろう受験生の出身高校(現浪合計)
岡山県の高校:
岡山白陵9名、大安寺中教・岡山操山各5名、岡山朝日4名など
中四国の高校:
愛光9名、広大福山5名、高松3名、丸亀・土佐・鳥取西・米子東・松江北各2名など
第1志望ではなく岡医に合格してきたであろう地域の出身高校
(潜在第1志望校)
名大医学科:滝2名、東海・旭丘・浜松北・諏訪清陵各1名
京大医学科:洛南2名、洛星・徳島文理各1名
阪大医学科:清風南海・金蘭千里・近大和歌山・甲陽学院各1名
神戸大医学科(内1/3程度?):高砂白陵9名、姫路西・加古川東各2名、神戸女学院・淳心学院各1名
広大医学科:広島ND清心2名、広島学院1名
九大医学科:ラ・サール2名、久留米大附設1名
岡大医学科に全国の強豪校から攻め込まれる理由の1つに理系学部共通問題のくせの無さがある。英・数・理どの科目も標準レベルで、共通テスト自己採点後からでも上位医学科を目指してきた人には容易に対策できる。京都医を目指した四国の中高一貫高の首席は直前で「浪人したくない!」と志望を下げ、共テ9割超、2次数学全完でA判定だった岡医に絶対合格してきた。広学・ND清心の3名は英検準1級合格できず共テみなし満点が利用できなかったのか?広大R:L=1:1配点のリスニング難民で4:1配点の岡医に志望変更したのであろう(民間英語試験で共テ英語みなし満点もらえる広島医では英検準1級無しだと40点近くビハインドとなる)。
来年から岡大医学科は2次配点を57%から69%に上げてくるが、2次重視の旧帝医学科レベルから変更し易くなった30名余りと、四国・山陰から地元医学科のA判定を捨てて更に上を目指してくる各県最上位の30名余りとの挟み撃ちに合い、防戦を余儀なくされる県内生は大変だ。最後のセンター試験だった2年前は灘高から3名も岡医に下りてきた。選択権を持つ上の層の志願動向によってボーダー周辺の合格可能性が左右され2次比率Upもあって最後の最後まで合否が読めない戦いとなるだろう。
同様に今春地元生占有率が23%まで落ち込んだ徳島医は一般枠69名中県内合格者ゼロという衝撃の結果だった。岡山県の高校から岡大より上位の医学科に合格できたのは現浪合わせて大安寺中教から京医に合格した1名のみだったが、徳島県からは徳島医以上の京医・岡山医各2名、阪医・九医・神戸・金沢・広島医に1名ずつ抜けた後、関西圏のみならず麻布、武蔵、筑波大附属、学芸大附属など東京の有名校からも攻め込まれた。
医師になることを最優先するのなら難関医学科にこだわるのはリスクが高い。今月東京の医学部受験塾が岡大キャンパス内に進出してきた。岡山医は関東圏からの侵略者が少なかったが、 ここ20年間で東大合格者数を最も伸ばした渋谷幕張中高・千葉医卒の代表は「岡山医はコスパがいい」と狙ってきており、今年10名以上定員が減る千葉医志望者など強い受験生を関東から連れてくるだろう。加えて緊急医師確保対策の増員も期限切れが迫り国公立医学科の定員は減っていく。合格確率を冷静に見極めた上で人生を賭けた一発勝負に挑んで欲しいと願うばかりだ。