国公立医学科の一般入試は狭き門へ!?
18歳人口の減少に伴って大学志願者数が減っている中、人気を維持しているのが医学部医学科だ。23年度の国公立医学科の一般枠は募集人員が60名余り減少する中、志願者数は約1200名増加し倍率が更に厳しくなっていた。私立大学では総合型(旧AO)や学校推薦型入試で入学する人が6割近くを占めると言われるが、理系最難関の国公立大医学科の今年の定員を精査してみると、前期と後期の一般枠が約2/3、残りは総合型・推薦枠その他となっていた。
今や国公立医学科の定員の1/4以上が総合型・学校推薦型選抜となっており、北大のような進学振り分けによる医学科移行や学士編入、岡山医のような国際バカロレア(IB)入試を設ける場合もあり多様化している。地域枠など推薦入試を下に見る人もいるが、国公立大学の一般枠の割合が年々縮小する中、理系最上位の間での戦いで、標的の約2/3しか狙わない人が未だ多いことも医学科入試を過酷な戦いにしている一因だ。前代未聞の事故だが鳥取医は物理の出題ミス(高校履修範囲外の液体力学分野を出題)で7名が追加合格となった。本来なら不合格だった7名多く在籍するので国から募集定員を減らされるかもしれない。難関の医学科では1名の定員減でもわずかの差で争う受験生の合格確率に影響するので今年の鳥取医への出願は要注意だ。
コロナ禍で安定志向が強まり、それまで医師を視野に入れてこなかった一般家庭の受験生が医学科を目指すようになった。高額な私立医大の学費は払えないので、表向きの数字に反映される間もないスピードで国公立大医学科が難しくなっている。しかるに偏差値上位の大学を目指すことよりも「現役で合格する」ことの方が重要だ。特に学費が格安の国公立医学科は全国の強い受験生間での戦いとなる。高よびの今年の合格者を見ても県外生が受験可能な一般枠推薦で香川医4名中岡山県から2名(倉敷南・岡山高)、徳島医4名中香川県から2名(高松・丸亀高)、高知医には岡山県・兵庫県から1名ずつと出身県にはこだわらない合格戦略を採っていた。
皆それぞれ行きたい大学があるだろうが、最終目標は「医師になる」ことのはずだ。医学科に受かれば医師への道は開けるので、戦略的に自分の強みを最大限活かし受かる確率の高い大学を模索すべきだと考える。河合の全統記述ボーダーで国公立大学医学科は50校中31校が偏差値65以上(23年度前期入試)と狭き門だ。一方、工学系で65以上の大学は東大・京大・東工大の3校のみで、高学力受験生に根強い医学科志向を物語る。
偏差値65以上の医大生が相対評価で毎年1割切られる医師国家試験の専門予備校代表が合否は問題演習量で決まると指摘していた。アウトプットの量が合格因子になっているという。今年は1名不合格が出たため順天堂大に首位を譲ったが全寮制の自治医大が国試合格率10年連続全国1位だったのもうなずける。キャンパス内の学生寮で6年間生活を共にする各県の先輩方が日夜指導してくれるらしい。当塾では思考スピードが要される共テ英語に向けて実戦演習で感性を養っている。