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国公立医学科志望者は募集定員に要注意

Jul. 21, 2023 大学合格戦略

国公立医学科のメインの入り口である前期定員が今や全体の6割台前半まで減ってきている。国立大学協会が高大接続も見据えて「学校型推薦・総合型募集枠を3割まで上げる」ことを掲げていることもあり、理系最難関の医学部医学科でも全体の1/4余りまで推薦・総合型枠が増えてきているからだ。中四国の医学科で2023年の前期に70名以上募集した大学を挙げると、岡山医95名、広島医90名、鳥取医79名(21名は地域枠)、香川医70名(9名は地域枠)と9大学の内4(実質2)大学しかない。山陰・四国の大学は地域枠を中心とする推薦・総合型募集が多いためだ。

全国的に見てみると定員90名を超えるのは東大理3・京都医・大阪医・名古屋医・九州医などの旧帝大、上記の岡山医・広島医の他に、旧六医大トップの千葉医、神戸医、京都府立医と難関医学科が並ぶ。旧帝の北海道医、旧六の熊本医・金沢医・新潟医も80名以上の前期定員があるので、ほぼ旧六医大以上は間口の広い前期入試での学力勝負だと言えるだろう(九州医のみ推薦入試無し)。

地方国立大学医学科や私立医大は主に地域の患者を診る臨床医を育てようとしている。1日に多くの患者を診察しなければならない医師は短い時間で正確に判断し、必要な投薬や治療の指示を出す必要がある。そういった臨床医を育てようとする大学は頑張れば解けそうな問題を多く出題してくる。つまり、限られた時間で正確に作業できる能力があるか?を判断している「医学科入試ではミスが許されない」と言われるのはそのためだ。

一方、研究医育成に力を入れる旧帝大など難関大学医学科の入試では「この問題は皆が解けるので完問する」「この問題は部分点を狙いにいく」「この問題は皆が解けないので捨て問にする」など瞬間的な判断が必要な難問揃いのセットが多く出題される。

中四国の国立医学科の今年度定員で注目は鳥取医だろう。今春の2次物理で履修範囲外の液体力学を出すという前代未聞の出題ミスによる追加合格で本来不合格だった人が7名余分に在籍する。前期一般枠+鳥取県地域枠60名と学校型推薦枠20名の計80名は募集要領で発表されたが、残りの前期地域枠など30名は継続申請中。過剰に入学させた7名分はこの認可待ちの枠で減員されるだろう(定員を厳格に管理する国が大学側のミスを許すはずがない)。しかし前年の定員110名中3割近くもの数が医師確保対策に基づく臨時増員枠だったとは驚きだ。厚労省が2030年頃に医師数の需給均衡を予測し新型コロナウイルスが5類移行となる中、期限が切れた臨時増員枠の延長がいつ何時中止されるかわからない。国公立医学科全体では700名以上の定員減という時限爆弾を抱えているので、早めに合格して逃げ切った方が賢明であろう。