2023国立医学科の予備校別合格者数(中四国編)
九州の雄「努力は実る」の北よびさんだが、国公立医学科+官立医学科(防衛医大・自治医大・産業医大の3校は補欠で重複合格者有り)の合格者数がセンター試験の最終年だった20年度には294名に上り300名突破か?と思われた。が、その後失速して大好きな「合格者?名Up↑」の派手な広告も打てなくなった。22年は216名、23年も227名と全盛期から約1/4も減らしているようだ。地頭勝負の共通テストに代わってから、浪人して時間をかけても点数を上げにくくなっている仮説がここでも証明されている。1名でも増やすため集計に時間をかけていた2大予備校がようやく発表してくれたので中四国9国立医学科の予備校別合格者数をまとめてみた。
岡山医:(昨年度実績)
河合18名(14名)>駿台13名(21名)>高よび12名(17名)>岡山S学院4名(2名)
広島医:
河合49名(48名)>駿台31名(36名)>高よび2名(3名)
鳥取医:
河合29名(34名)>駿台18名(11名)>高よび3名(4名)>S学院2名(1名)
島根医:
河合16名(17名)>駿台15名(17名)>高よび2名(3名)
香川医:
河合14名(21名)>駿台11名(16名)<高よび22名(13名)>S学院2名(0名)
徳島医:
河合28名(26名)>駿台21名(19名)>高よび4名(5名)
高知医:
河合35名(30名)>駿台18名(14名)>高よび10名(13名)>S学院1名(2名)
愛媛医:
河合20名(32名)<駿台30名(23名)>高よび19名(17名)
山口医:
河合29名(20名)>駿台13名(13名)>高よび0名(1名)
★中四国9国立医学科合計:
河合238名(242名)>駿台170名(170名)>高よび74名(75名)>S学院9名(5名)
昨年に続き現役対象のグリーンコース、映像授業のマナビスもある河合塾の圧勝だった。広島校しかない河合塾・駿台のこの数字は中四国以外の他県からの合格者がいかに多いかを示している(駿台も現役フロンティアを展開し、各予備校共に現役コースを開設)。中四国の医学科に強いと言われてきた高よびだが、近年山陰の鳥取医・島根医、四国の徳島医は合格者数が5名以下に留まる。2次7割配点への変更後、全国から2次強者が集まるようになった岡山医で無理をさせず香川医を死守した(地元高松高校の浪人が溜まっていた)感じだ。大手も河合塾が前年比4名減と何とか耐えているが、全国的に現役優勢のトレンドがうかがえる。
昨年に閉鎖された河合塾福山校は現浪合わせて14名の国公立医学科合格者を最後に送り出していた。広大福山の上位生御用達だった現役グリーンコースからは大阪医1名、岡山医1名など4名を合格させるなど一定の成果を上げていたが、スパルタ寮を好まない宅浪組を岡山S学院や広島から福山に進出したNゼミが授業料免除の特待生で取り込んだようだ。
23年度高よびの中四国の国立医学科合格者は74名だった。20名の定員中14名合格させた愛媛医など地域枠を中心とする推薦・総合型での合格が約34名(46%)と前受けを奨励する戦略は変わらない。センター試験とは異なり従来の表層的な対策が効かなくなった思考力重視の共通テストに変わったのも合格実績が伸びない原因の一つだろう。同じくスパルタ寮で有名な九州の北よびも重複合格で数字を盛れる官立医学科3校を除く真水の国医合格者数は200名を切っている模様だ。
後期の定員が年々削減される中、受験機会を増やすためにも現役時から国公立医学科の定員の1/4を占める総合型・学校型推薦なども視野に入れるべきだと考えるが「難関医学科にチャレンジしたい」と浪人覚悟で前期1本勝負する人も多い。一方、近い将来、医師数が過剰になるのは確実で「医学科定員を段階的に削減していく」方針が厚生労働省の医師需給分科会でも確認された。現高3生が受験する2024年度までは2019年度の医学科総定員数(9420人)を上限として維持される(2022年度は9330人まで減少)が、現高2生が受験する2025年以降の臨時定員については第8次医療計画に関する検討会を踏まえ、改めて議論されるようだ。国の政策で増員された医学科の期限付き臨時定員はコロナ禍もあり延長されてきたが、いつ打ち切られてもおかしくない状況だ。僅差で合否が分かれる医学科入試では過度に大学名にこだわらず合格可能性を上げることを優先すべきでないだろうか?幼少期からの長かった受験人生の全てを出し切って必死の努力で現役合格していった塾生たちの壮絶な戦いに寄り添ってきたリアルな体験から想うところだ。