2024国公立医学科合格者ランキング(合格者総数)
今春の国公立医学科合格者ランキング(防衛医大を除く)が発表された。現役+既卒合格者数のトップ10は次の通り(◎は私立)
1.◎東海:104名↑(昨年100名)
2.◎久留米大附設:73名↑(69名)
3.◎ラ・サール:71名↑(66名)
4.◎灘:70名↑(65名)
5.◎洛南:68名↓(76名)
6.◎愛光:64名↑(59名)
7.◎開成:52名↓(55名)
8.◎滝:48名↓(53名)
9.◎海城:47名↑(45名)
10.◎桜陰:43名↑(42名)
10.◎東大寺学園:46名↓(58名)
昨年は8位に熊本、10位に仙台第二と公立高が2校食い込んだが、今年はトップ10全て私立中高一貫校が占めた。1位の東海は3年連続の100名超えで17年連続トップ。2位は女子が引っ張って現役合格率全国2位の久留米大附設。3位も九州のラ・サール。東海は名古屋医31名、洛南も京都医15名、久留米大附設は九州医22名と地元の旧帝医学科で圧倒していた。また灘高校は東大理三12名で開成、桜陰と首位を分け合い、数学が難化した京都医は25名で最多、総合格者(70名)の半数以上が理3・京医というレべチの内容だった。3年制の公立高生にとってコロナ禍の2年間の学校生活を送った影響はまだ大きく科目数の多い国公立医学科入試で6年制先取り学習のアドバンテージが活かせる私立中高一貫校が総じて合格者数を伸ばしていた。数年ぶりに岡山朝日から合格者がゼロだった香川医に開成から現役合格してきたり、徳島医に甲陽学院から4名、灘から3名など旧課程最後の入試となる今年は都会の進学校から志望を下げた人が多く、四国の国立医学科は倍率が上がり、足切りでの退場者が多く出た。
私立中高一貫校が強さを見せる中、公立校の最上位は昨年より合格者を減らしたものの札幌南と熊本の2校が44名ずつで公立トップだった。合格者を10名増やした浜松北が42名で15位、浜松医大が19名と地域枠も利用して地元医学科を確保している。京大合格者数全国1位の北野は岡山医にも2名合格させ昨年比9名増の39名で19位まで上げてきた。例年通り熊本は旧六の熊本医に25名、札幌南は全国最多の地域枠を採る札幌医大へ20名、22位の新潟(36名)も新潟医20名と地元国立医学科を死守して合格者数を伸ばした。新潟は全県学区の理数科に県内の最上位層を集め進学実績を上げている。公立にも係わらず高2からメディカルコースを設け医学科進学への専門教育を行っている(今年は岡山医にも1名現役合格)。札幌南も「医学部研究会」など公立高校にも係わらず医学科志望者用のセミナーを実施している。
国公立医学科入試の難しさについて「工学部など他の理系学部より定員が少なく倍率が高くなることが多いので、大学入学共通テストと2次記述試験ともに高得点が求められる。理系最上位の強豪同士の争いの中、本番の少しのケアレスミスで不合格になってしまう」と駿台入試情報室は指摘する。各教科の完成度が要される医学科入試では先取り学習が進んでいる中高一貫校がどうしても強くなる。
地方経済の低迷や物価高が家計を直撃し、東大理系に受かる学力があっても下宿の負担が少ない地元の国立医学科に進学する人が増えている。しかしながら、幼少期から受験慣れし、大学入試までの塾や中高一貫校の強力なサポートを受けられる都市圏の生徒たちを相手に、難関大受験で渡り合える地方の受験生はそう多くはない。難関とされる国立の旧帝国7大学に合格したと東京圏の高校出身者が2008年から2023年度の15年間で1.7倍に急増しているデータがそれを物語っている。