Super English
大学入学共通テスト対策塾

News & Blog お知らせ・ブログ

中四国の国立医学科の共テ合格ボーダー速報

Jan. 23, 2025 大学合格戦略

統計オタクの講師の腕の見せ所である高3生向け出願カウンセリングが始まる。駿台データネット・河合塾バンザイシステムの40万人近いデータベースで合格可能性が1%でも高く、生徒さんの強みを最大限活かせる大学を客観的に絞り込むお手伝いをする。特に大学間で配点が異なる医学部医学科では傾斜配点で5%近く違ってくる場合がある。

毎年恒例のTV中継でタカヨビマンの予備校が中四国6県の現浪生約3.3万人を母集団とする6つの国立医学科のボーダーを公表した(合格者が少ない山陰の鳥取医・島根医、昨年も合格者ゼロの山口医はギブアップ)昨年度の50%合格可能性共テボーダー得点と1000点換算で比較してみると
岡山医:870点↑(839点)
広島医:855点↑(833点)
徳島医:835点↑(828点)
香川医:830点↑(811点)
愛媛医:810点↑(806点)
高知医:805点↑(794点)

今年の化学・物理・数IIBCで顕著に表れた最上位層とミドル上位層の分断が証明されている。中四国最難関の岡山医が31点も上がった一方、下位医学科上昇分は半分程度に留まっていた。追加初年度の大判振る舞いで平均点が7割出た情報Iに加え10点以上国語が上昇したのにも係わらず下位の医学科では1桁しか上がっていないのは激ムズだった化学、理系の大半が選択する物理及び地理の難化が要因だ。すごく理数ができる理系か、普通にできる理系かを更に振り分けた今年の共テ理系分野だったと言えよう。なお経過措置である旧課程の出題は今年限りで、平均点の高かった旧数学や旧地理で高得点できた浪人生が安全志向で落としてくる展開なので安易に共テ判定だけを信じて2次比率が高い大学に出すと逆転されそうだ。皆がとれた文系科目で稼いだ共テ得点は気をつけた方がいい。

上記の分析をサポートする根拠は次の理系が受ける2次3科目別平均点の前年度比推移である。高予備さんは「自校の旧課程を受験した浪人生と新課程を受験した現役生、及び追加となった情報Iの差分を足し込んだ調整がとてもやりにくかった」とこぼしていた。
総合理系(英語1:1配点):613.5点>611.2点(+2.3点)
総合理系(英語4:1配点):611.8点>601.2点(+10.6点)
英語R:60.3点>53.5点(+6.8点)
英語L:63.5点<68.8点( ▼5.3点)
英語R&L総合ではわずか1.5点の上昇にとどまっていた。理系総合点も1:1 配点でと4;1配点で8.3点の上げ幅の差が出たので、いかに英語Rのかさ上げ分が大きいかわかるだろう。中四国の8医学科でR&L均等配点の広島医以外は4:1配点なので国語に加えて英語Rのかさ上げ分で傾斜配点は高く出る。但し医学科志望者の多くが高得点できているので大きなリードにはならないだろう。
数学IA:60.8点>56.8点(+4点)
数学IIBC:57.2点<62.1点(▼4.9点)
密かに数学は難化した、リード文が長くなり読解力の要素が加わった数IAより純粋な数学力の差が出る数IIBCは満点近くとれる人との実力差がついたであろう。
化学:44.1点<53.9点(▼9.8点)
物理:58点<61.9点(▼3.9点)
生物:51.6点<55.2点(▼3.6点)
地理:57点<64.2点(▼7.2点)
理系で最も差がついた科目は理科だった。大半が選択する化学・物理・地理で21点近く難化している。実験考察問題が共通テスト独特のフォーマットで活かされる理科が知識問題偏重だったセンター試験から最も変容したと言われる。国公立医学科では1次・2次共に理科重視配点が多いので理科が得意な人はかなり有利な今年度の入試になろう。全国の地方国立医学科の得点分布も国語・英語R・情報の大量得点と理科・社会の難化で相殺されB・C・D判定が40点前後のレンジでぎっしり詰まっていた。つまり2次試験勝負、取り分け大問1個が40点~50点で破壊力のある数学力が合否を左右する。昨年から共テ比率9割に変更した奈良県立医大前期ぐらいしか共通テストで逃げ切れる大学はないだろう。

理事長の息子さんが旧課程で受験した浪人生の平均点と新課程で受験した現役生の平均点の差を見せて「1年間頑張ったら伸びるので第1志望を目指して予備校で頑張って」とセールストークを連発していたが同校も高額のテレビ枠を買い取って宣伝しているのだから仕方がない。近年国公立医学科合格者の浪人生割合は減少傾向だ。浪人生は理科など全範囲一周しているのが有利な点だったが、高2までに先取りする中高一貫校の伸長、及び「国公立なら全国どこでも受かる大学に現役合格して1年でも早く医師になる」という手堅い考えの現役生が増えているからだ。久留米大附設、青雲、ラ・サール、愛光など医学科に強い中高一貫校は高3の本番までに生徒の持つポテンシャルを最大限に仕上げてくる。今年は初物大安売りだった情報と易化した国語・英語Rで昨年比Upは当たり前なので景気のいいアゲアゲ広告には要注意だ。

第5回共通テストでは国語・英語Rの上昇分を難化した物理・地理探究、超難化した化学の減点分が相殺してそれほど900点換算での平均点は前年度比で上がっていない。1000点換算での平均点10点以上の上昇は初年度はお手柔らかにしてくれた情報Iのボーナス分で受験者間での差はつかないだろう。英語も昨年最低平均点を記録したリーディングは楽にするけどリスニングは手強いよ!というセットで上手くバランスをとっていた。

昨年、史上最強の難問をぶつけられ3年連続の平均点下落となった英語Rは反動で易化したが、その本試をコピーした模試を解かされ甘やかされるであろう新高3生に「来年は分量増やされて難化必至、毎日の多読多聴を習慣化するように!」危機感を伝えたい。英語は素材語数を増やしたり単語レベルを上げるなど簡単に難化させられる。更にパワーアップした演習で鍛えるので新高3生の皆さんは覚悟して下さいね。今年の生徒は傾斜で198点、190点だったが英語Rで差をつけられた過去2年間のような高揚感はない。共テ同日の土曜に進研模試をぶつけられた当塾主力の伝統校の生徒が後日受験となったため未だ全員の結果は出ていないが高1生1名、高2生2名から英語R満点の報告が届いている。

中四国では去年50名近くの英語外部試験C1受験生(都立国際高校、芦屋国際中教など)に攻めてこられた岡山医が今年も共テ&2次英語500点満点制度で募集する。共テ英語100点は易化で去年ほど差がつかないが、満点取るのは不可能な2次英語400点ではかなりの差をつけられるだろう(しかも採点の厳しい2次英語での400点満点は共テリサーチ判定に反映されないステルス攻撃となる)難関国立医学科入試は理系最上位間での相対評価の椅子取りゲームで少しの差が合否を分ける。英語満点だと2次数学・理科700点で6割ちょっと得点できれば計算上は合格最低点に届いていた。

この時期になると無念な結果を受け容れて、狭い予備校の寮で窮屈な合宿生活に耐えながら必死で再起を目指す塾生OB、OGの姿を思い出して眠れない日が続く。幸い今年は浪人有利な経過措置となったようだ。英語検定試験で1次・2次英語満点という思いつきの入試改革のおかげで共テA判定だった生徒、全統第3回記述模試で数学・物理・英語の偏差値が72超えだった生徒が定員の約2割も合格をさらっていったC1受験生に競り負けた。わずか2年で撤回とか中四国トップを争う国立大学にしては何ともお粗末な入試変更だ。最難関の医学科を志望する高2のエースくんに中四国で英検1級面接の唯一の会場である広島のAICJまでC1取りに行ってもらいリベンジを狙ったが(中四国で高校生の英検1級1次合格者は5名のみ)来年度から共テ100点満点しかもらえず「新幹線代払って」と言いたい。前期一般枠を94名へ1名減らして地域医療に燃える地元生の入口をさらに狭める一方、国際バカロレア(IB)生は定員の2倍合格させるなどフェアとは言い難い。子供の頃から必死で目指してきた受験生の人生を狂わせるような失政をした大学側には変更の経緯を明らかにしてもらいたいと思う「入試制度やっぱり変えます」のHP公告だけで済まされていいものだろうか。