共通テスト利用方式の人気が急上昇!?
2021年入試は大学入学共通テスト元年だ。特徴は浪人生の大幅減と、私立大の共通テスト利用方式の志望者増だ。そして、これらの動向に深く影響を与えているのが、新型コロナウイルスの感染拡大のようだ。
初めて実施される大学入学共通テストの出願が10月に締め切られた。20年度のセンター試験と比べると約2万4千人減。現役生と浪人生では、現役が前年比約0.5%の微減に留まったのに対し、浪人は約2万人(同19%)もの大幅減となった。代ゼミ教育総合研究所は言う「共通テストを避けるため、20年入試で大学に駆け込んだ受験生が多かったということ。不本意入学も少なくなかったと思いますが、そもそも共通テストを避けたかったのですから、再受験を考える学生は多くないのでしょう」
志望度が低い大学に入学し、在籍しながら捲土重来を期す「仮面浪人」が毎年一定数存在する。だが、21年度は人数が大幅に減っているようだ。駿台教育研究所はこう話す「例年なら春先の模試で腕試しをし、受験準備に入るものです。今年はコロナ禍で模試の公開受験が中止となり、自分の立ち位置が分からず、再チャレンジを諦めた学生が多かったのでしょう」
これまでのセンター試験と同様に共通テストの成績で合否を決める、私立大の共通テスト利用方式への注目度は高い。この方式は地元で共通テストを受けていれば、多くは移動せずに合否が分かり、コロナ禍で移動を避けたい受験生には利便性が高い。またコロナ感染などで一般方式を受けられない事態の救済措置として、共通テストの成績で合否判定する大学が多いことも注目度が上がる要因だ。
各大学の試験場に行かずに併願できるのも、国公立大志望者にとっては2次試験対策に集中できるメリットがある。多くの科目を課す共通テスト方式は、倍率が低くなるケースが多いことも有利な点だ。
また、初めて行われる共通テストで気になるのは、問題の難易度だ。一般的に平均点は下がると言われているが、駿台教育研究所は「全体の平均点は下がると思いますが、最上位層は得点できると見ています。思考型テストで問われ方が変わり、問題文の高い読解力が求められますが、学力上位の受験生ほどあまり苦にしていないようです」と指摘する。
では、共通テスト方式の志望状況はどうなっているのか?安全志向や地方から大都市部の大学を目指す受験生の減少から、早慶上理やMARCHといった首都圏の難関大は志望者が一般方式で減り、共通テスト方式には堅調に集まっている「学部毎に変わる難関大の独自試験に対応するのは負担が大きいので、それらの大学の共通テストのみで合否判定する方式が人気になっているのです」代ゼミ教育総合研究所は言う。
何もかもが初物尽くしの共通テストですが、初めての試験に臨むという条件は、全受験生に共通しています。とにかく、まずは志望校に合格するための得点確保に向け、共通テスト対策に全力を尽くしましょう!