岡山大学が24年度入試から英語資格試験C1レベル利用の衝撃!?
国立大学の入試変更に関わる2年前予告で、2024年度(現高2が受験)から岡山大学が開始する英語資格試験の利用ガイドラインを発表した。下記の通り、他に英語資格試験を利用する国立大学と比較しても「最難関資格の取得者に限定して優遇」するという衝撃的な内容だった。
◎岡山大学(全学共通)
★CEFR(運用能力を測定する国際基準)でC1レベル以上で共通テスト及び個別試験の英語の成績をいずれも満点とみなす。
◎広島大学(全学共通)
★CEFRでB2レベル(英検準1級合格)以上で共通テスト英語を満点とみなす
(但し医学部医学科ふるさと枠では共通テスト英語の得点率が90%以上の場合のみ満点とされる)
◎鹿児島大学(全学共通)
★ CEFRでB2レベル(英検準1級合格)以上で共通テスト英語を満点とみなす
(但し共通テスト英語の得点率が80%以上の場合のみ満点となり、80%以下の場合は得点の25%が加算される)
◎佐賀大学(全学共通)
★資格試験の得点から独自の公式で共通テスト英語の得点を換算する
(英検準1級なら共通テスト英語90%、英検2級なら共通テスト70%となるが、メリットは限定的であり、共テ英語も全力で受けなければならないのでコスパは良くない)
★CEFR最高レベルのC2まで到達できる民間試験は英国系のケンブリッジ英検・IELTSのみであり、英検1級のCSEスコア満点でも、その下のC1までしか達しない。C1相当のTEAPの得点は400点満点、TOEFL-ibtだと95~120点満点(講師の最高点は113点)とされる。いずれの試験にも高い英語4技能力が要される。
数年前から民間資格試験で共通テスト英語みなし満点換算を導入している広島大医学科を目指す地元の有力校(広島学院・ND清心・広大附属等)の受験生は高3までに主に英検準1級利用でみなし満点を確保し、1次マークで30点程度のアドバンテージを取ってくる。本番での失敗リスクへの保険として事前に共テ英語みなし満点を確保していればメンタル的に楽に2次試験を戦える。
岡山大医学科の場合、達成レベルは極めて高いが英検1級のCSEスコア2600点以上やTOEFL-ibt95点、IELTS7.0などを取得できれば、1600点の配点の内、共テ100点+2次400点の英語500点が満点扱いされることになる。岡大の2次英語はネイティブの細かいチェックも入る自由英作文を始め採点が非常に厳しく医学科合格者でも300点以上はあまり見かけない。英検1級取得者は共テ英語と合わせて少なくとも120点は差をつけることができるだろう。24年度からの岡大医学科入試は全国の英語強者が何名受験するかで合格者最低点が上がるかもしれない。
一般の受験生にはオーバーワーク過ぎる英検1級合格を目指すべきか?については、自身英検1級取得者として次の理由でおススメしない。
★英検1級に要される語彙レベルは準1級とは比べものにならない
地方の高校生が合格に苦戦する英検準1級合格に必要な語彙数が約7000語、英検1級はその約2倍の15000語程度が要される。大学入試にはオーバーワーク気味で、中学生で英検準1級合格できる位余裕がある人以外は費用対効果が乏しいと考える。当塾もスパルタ英検道場の出身者が多いが、岡山在住で英検1級を持つ現役高校生は2名しかいない。小6で英検準1級、中3で英検1級合格した生徒さん(23年に東大理2に合格)も8回目の受験でようやく合格にたどり着くほど苦戦したようだ。
★英検と大学入試では傾向が異なる
例えば、英検の長文読解では1段落毎に1問出題される単純パターンだが、難関大学の読解問題ほど解答根拠が全文に分散されるように作問されており、英検のようなパターン練習では効果が薄い。また語彙も含め、英検合格へ投資した勉強時間が難関大学の英語対策につながりにくい。
★併願校の選択に制限をかける
英検1級を取得できたとしても、他にみなし満点で有利になる医学科は広島医、鹿児島医のみだ。広島医いのち!の広学、ND清心、広附などの生徒は共通テスト英語対策にかける時間を他の科目に捻出できる準1級での共テみなし満点メリットを狙ってくる。英検・共テ英語を両立できるほど数学・理科に余裕がある人ならいいが、他の英検利用しない医学科への志望変更の選択肢が狭められる。
保守的だった岡山大医学部は毎年定員いっぱいIB(国際バカロレア)選抜で合格させたり、看護学科の2次試験を英語と面接だけにしたり、破格の民間資格検定試験利用を導入したりして英語重視に変貌したと言えるだろう。広大に対してマウントを取りたいのか?英検準1級はゼロ評価という英語が凄くできる人限定の優遇政策だ。全配点の31%も英語で満点をもらえると圧倒的に有利になるので、C1レベルの医学科受験生に全国から攻め込まれ、広大医学科以上に共通テストの自己採点リサーチだけでは見えないステルスC1取得者との神経戦になりそうだ。