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2024年度から英検が大幅に難化する!?

Jul. 11, 2023 英語テスト

英検準1級など英語検定試験のB2レベル(CEFRベース)で共通テスト英語200点をみなし満点する広島大(全学部)に加えて、今年度入試から岡山大(全学部)が英検1級などC1レベルで共通テスト英語に加えて2次試験の英語をみなし満点(医学科だと500点満点)する予定で受検者の増加が見込まれる英検だが、2024年度第1回試験から英検3級以上のテスト形式の大幅リニューアルを発表した。

リニューアルの背景として、英検協会は新学習指導要領では複数のスキルを統合した言語活動の充実が目指していることを指摘。また、知識の習得だけでなく、コミュニケーションを行う目的や状況に応じた言語の運用を考える中で、思考力、判断力、表現力等の育成も求められることを踏まえ、新たな方針を反映した出題形式と取り入れたとする。

特に大問1題で、問題数の多いリーディング・リスニングと同じく750点配点されていたライティング(英作文)が大幅な難化となる。大学入試において共通テストみなし満点や加点がされる英検1級・準1級における変更をまとめると、
★英作文の出題が1題から2題に増加し難化
「意見陳述」問題に加え「要約」問題(180ワード程度の英文を約1/3の60~70ワードに要約する)が加わる。
★スピーキング(面接)に4番目の質問が追加され難化(準1級のみ)
受験者自身の意見を問う質問(No.4)に話題導入文が加わる。
★リーディングの語彙・長文問題の設問数が一部削減(試験時間調整のため)。

最も大きな変更は英検2級以上の英作文に長文の要約問題が追加されることだ。これは受験者潰しの難化となる。従来の英検は、
★ 大学入試での4技能試験利用を目指して各技能を同一配点にした結果、 意見陳述1問しかない英作文の配点がアンバランスに大きい英作文ゲームに変わっていた(筆者が英検1級合格した時代は単語暗記ゲームだった)。
★英作文での意見陳述はテンプレート(序論・理由・結論)で何とか書けていた。
★準1級の面接でリスニング力は問われていなかったが、話題導入文の追加で相手の言っていることが聞き取れているかリスニング力も計られるようになる。

今年までの英作文はどのテーマでも使える汎用的な英語表現を覚え、テンプレートの形式に覚えたフレーズを組み合わせて書けば何とかなり、配点上の欠陥をついて英作文と語彙で点数を稼げば、読解とリスニングが5割以下でも合格することができた。サンプル問題を解いてみた感想として、今後は各段落のトピックとそれらの論理関係を読み解く読解力が要され、テンプレ化が困難となり地の英語力が問われるようになる。高過ぎた英作文の価値を減らすのは妥当な難易度調整だ。

センター試験も30年余りの出題傾向を徹底分析され、パターン対策が有効になったこともあり、思考力重視で対策が効かない大学入学共通テストに移行された経緯がある。民間英語検定試験で最大の受験者数を誇る英検が同じようなベクトルで改革されるのは自然な流れであろう。準2級と3級でもEメールへの返答を書く問題が追加される上に試験時間が準2級で80分へ3級で65分へ延長され、増え続ける低学年の英検合格者潰しを思わせる動きだ(子供が長時間集中するのはきつい)。

当塾も速読力やリスニング力を養うため英検準1級の過去問を利用しているが、英検の読解問題はパラグラフ毎に順番に出題がされパターン化しているので、根拠の箇所を長文全体に分散させて難易度を上げてくる難関大学の2次英語対策としては物足りない。今回の英作文や面接パートの難化は英語力を問う検定試験としては明確な改善となる。英検準1級合格レベルで共通テスト英語がみなし満点される広島大や鹿児島大を志望する受験生は10月の第2回及び1月の第3回試験で現形式のうちに合格して逃げ切った方がいい(第2回では2名の生徒が準1級一次突破!)。

奇しくも現高2生は新学習指導要領に準じた情報Iの追加、数学・社会・国語などの組み換えなどを反映した新大学入学共通テスト、リニューアル後の英検と過去問のない試験を受験しなければならなくなり混乱も起こるだろう(特に多くが英検準1級で共テみなし満点取ってくる広島大・鹿児島大医学科の志望者にはダブルで負担が増加)。来年の第1回までに英検対策本の改訂版は間に合うのか?大学側は難化した新英検と旧英検のCSEスコアを等しく評価するのか?新課程入試も相まり、対応するのは大変だが「変化に強い」講師が底力を発揮して乗り越えていきたい!